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2026年10月28日

主張

軍民両用研究
研究者を欺く軍事動員やめよ

 防衛省が20日、軍事技術に応用可能な基礎研究を財政支援する「安全保障技術研究推進制度」(推進制度)の採択結果を発表しました。大学等からの応募は過去最多の291件で前年度比約2・4倍に急増し、採択も過去最多の30件(19大学)でした。

 「航空機エンジンや衛星に利用する高温で安定な保護被膜の研究」(秋田大学)、「ドローンのための軽くて強い炭素繊維複合材料の研究」(岐阜大学)など軍事にも直結する研究が採択されています。

 「大学が軍事研究に手を染めていいのか」―市民からは驚きの声があがっています。

 推進制度については、日本学術会議が2017年に「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ」「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と批判する声明を出しました。

■兵糧攻めの一方で

 声明は、軍事的安全保障研究が「学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることを確認」し、軍事研究を拒否した1950年と67年の声明を継承すると表明しました。このため推進制度への大学の応募は、年10件程度にとどまっていました。

 ところが、この2年で応募は急増し、国立大学では累計で約半分にあたる40大学が応募しています。これは、政府から大学に対する執拗(しつよう)な働きかけによるものです。

 政府は国立大学に対する兵糧攻めをつづけ、研究者を深刻な資金不足に追い込んできました。その一方で防衛省は、推進制度は「軍民両用」(デュアルユース)研究を支援するものなので、民生目的の研究も広く支援すると強調して、研究者に応募するように働きかけてきました。

 しかし、民生目的なら文科省から支援すべきです。防衛省の制度である以上、目的が兵器の研究開発の強化にあることは自明です。契約上、研究成果の利用を国が求めた場合、研究者はこれを無償で許諾せねばなりません。

 さらには同盟国である米国などの外国機関やグローバルな軍需産業による成果の利用も拒否できない構造となっています。そのことを隠して「民生目的の研究も支援する」と強調するのは研究者と国民を欺くものです。

■民生資金拡充こそ

 17年声明は民生分野の研究資金の充実を求めており、大学の基盤的経費や科研費こそ抜本的に拡充すべきです。

 高市早苗政権は、「防衛と経済の好循環」と言って、軍事を「成長戦略」の柱にすえ、武器輸出を全面解禁し、経済の軍事化に大学を動員しようとしています。殺傷能力のある兵器開発に日本の科学者が生み出した研究成果を利用しようとするのは許されません。

 推進制度に応募する大学がこのまま広がるならば、民生分野の研究資金を拡充する道を閉ざして、推進制度に依存し、軍事研究にのみ込まれることになります。

 大学は、今一度、学術会議の17年声明に立ち返り、大学の構成員の中で民主的な討論をつくすべきです。「戦争する国づくり」に反対し、大学の軍事化を食いとめる世論と運動の強化が急務です。