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2026年10月28日

きょうの潮流

 息をひそめて暮らした屋根裏の部屋が原点でした。終戦直後、「満州」からの命がけの逃避行。一家をかくまってくれた中国人の狭い部屋で、遊び盛りの弟たちに書いた絵。その時の体験が漫画家としての下地をつくりました▼もっと面白い話をつくって喜ばせてあげたい。後に数々のヒット作へとつながった思いです。あしたのジョー、おれは鉄兵、あした天気になあれ、のたり松太郎…。命のエネルギーがあふれる主人公たちの活躍はたくさんの胸を躍らせました▼ちばてつやさんの訃報が届きました。長きにわたり漫画界の第一線を歩み続け、87年の生涯を現役としてまっとうしました。付き合いの深かった出版社は「人間への温かなまなざしと平和への願いを作品に込め、多くの読者に愛された」と▼最後に姿をお見かけしたのは東京大空襲の犠牲者を追悼する、昨年の「時忘れじの集い」。戦争というものは加害者も被害者も犠牲者にしてしまうと訴え、その悲惨さを伝えていく大切さを語っていました▼引き揚げや戦災孤児をはじめ自身の経験や見て聞いて学んだことを題材にした作品も多く。戦争につながる動きや、自由と民主主義を脅かすたくらみには声を上げて反対しました▼「1日1回、熱い汗をかけ」。後進にそう説いていると本紙で語っていた、ちばさん。自分が漫画で伝えたいのは「人間賛歌」なんだと。あのとき大陸で見た真っ赤に燃える太陽を重ね合わせたように。