高市早苗内閣が先の国会で強行成立させた改定皇室典範が24日、施行されました。
女性・女系天皇の道を閉ざし、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える制度を創設するもので、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」とした憲法に反しています。
重大なのは、この改定が「国民の総意」ではなく、「2600年以上続く日本の皇統」なる歴史の虚構にもとづいておこなわれたことです。
■史実にそむく動き
高市氏は4月の自民党大会で「126代にわたって、『男系』で皇統が継承されてきたという世界でも比類がない歴史的事実こそが、天皇の権威と正統性の源」と強調しました。大会で発表した「立党70年 新ビジョン」は、「日本の『国柄』を体する存在が2600年以上続く日本の皇統」であり、「この歴史と伝統を受け継ぐことは保守思想を体する政党」の「基本的使命」としました。
実際、皇室典範改定の国会質疑でも、「皇位の継承は、2600年以上にわたって先人たちが守り抜いてきた皇統、皇室の伝統」(小林鷹之自民党政調会長)などと強調し、維新の会、参政党、保守党などの議員も同趣旨の主張を繰り返しました。
2600年以上も前から万世一系の天皇を中心に日本の歴史が展開してきたというのは、史実に反し、戦前、国民を戦争に動員した皇国史観に通じるものです。こんな言説が国権の最高機関・国会でまかり通る事態は異常で危険といわなければなりません。
7月には日本女性史・ジェンダー研究者有志が要望書を提出、「そもそも2000年前には天皇は存在しませんし、日本女性史は、古代における天皇の継承には父母両方から受け継ぐ『双系制』が基盤にあった」とし、実証された事実を踏まえ、慎重、丁寧に議論するように求めていました。
皇室典範の改定後、古代史研究者が1300人以上の賛同をえて声明を発表。約2600年前の「紀元前660年は、考古学の研究成果によれば、縄文時代晩期、または弥生時代早期」「天皇につながる倭王(わおう)の地位が世襲的に継承されるようになるのは、紀元6世紀以降とするのが現在の通説的な見解」としています。
高市氏らの議論を「古代史研究の成果を否定するもの」と批判し、「学問的成果の軽視が社会を萎縮させ、思想・信条の自由が再び奪われる」と危惧を表明しています。
■憲法条項と精神で
現在の天皇の制度は、戦前の絶対主義的天皇制とまったく別の制度です。にもかかわらず、「万世一系の天皇」が国を統治するとした大日本帝国憲法と同じ歴史観を持ち込もうとするところに根本的誤りがあります。
皇室典範改定について、法案の成立後の世論調査でも、「理解を得られているとは思わない」63%(「毎日」)など、国民の支持も理解もえられていないのは明らかです。
史実に反する特異な立場から強行された改定を白紙に戻し、憲法の条項と精神にもとづく皇室のあり方について国民的な議論をすることが求められます。

