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2026年10月24日

きょうの潮流

 芥川賞作家の市川沙央(さおう)さんは、先天性疾患のため人工呼吸器と電動車椅子を使って生活しています。受賞作「ハンチバック」の主人公は重度の障害のため本を手に持つことさえ困難です。「紙の匂いが好き」「ページをめくる感触が好き」などと紙の本にこだわる健常者を嫌悪しています▼市川さんは、障害のある人も自由に読書ができる環境をと「読書バリアフリー」を訴え、電子書籍の普及を求めています▼先の通常国会ではデジタル教科書を正式の教科書にする法律が成立しました。2030年度から従来の紙の教科書に加え、デジタルと紙の併用型、完全デジタル型の教科書が登場します▼デジタルの利用は読解力や思考力の低下につながるという意見もあります。これまで取り入れてきた国では「学力低下」などが問題になり、紙に戻す動きも。一方でデジタル教科書は文字の拡大や読み上げ機能などがあり、障害や発達に特性のある子どもが学びやすくなります▼デジタル化に積極的だった文部科学省はここに来て、全面デジタル型教科書は小学4年以下には認めず、小学5年から高校でも外国語や音楽、情報などの教科に限定。併用型も紙に重点を置くといいます▼方針転換で教科書会社や学校現場の混乱は目に見えています。デジタル技術は効果的に使えば人びとがよりよく生きるすべになるはず。その検討もなく、簡単に方針を変える政府。現場の声を聞く姿勢をもってほしい。