日本共産党の山添拓議員は19日の参院予算委員会で、内政・外交を巡る高市政権の姿勢を追及し、物価高から暮らしを守る対策など日本共産党の対案を示して高市早苗首相に実現を迫りました。
関文科相のパーティー
裏金の反省なき任命
(写真)質問する山添拓議員=19日、参院予算委
関芳弘文部科学相が、2020、24両年に衆院の内規に違反して議員会館内で政治資金パーティーを開いていた問題にかかわり、山添氏は高市首相に任命責任をただしました。
関氏は、20年の議員会館内で開いたパーティーの収入は244万円で、支出は4万6424円、24年は収入は81万円で支出が8万1957円だったと答弁。山添氏は、国会議員の議員会館の会議室利用には料金がかからないため、20年の利益率は98%、24年が90%に達し、収入は「事実上の寄付ではないか」と指摘。高市首相に、関氏が規則違反のパーティーを開いていたことを知った上で閣僚に任命したのかとただすと、首相は「報道があるまで知らなかった」と答えました。
「政治とカネ」の問題を巡って関氏は、政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に記載しなかった裏金事件で刑事告発され、「起訴猶予」となっています。
山添氏は裏金事件に加え、衆院の内規違反というさらなるルール違反があったとし、閣僚登用は間違いだったのではないかと追及。高市首相は「議員会館で政治資金パーティーを行ったことについては、大臣自身が深く反省、謝罪している。襟をただして職務にまい進してほしい」などとかばいました。
山添氏は「脱法的な資金集めを可能にする政治資金パーティーそのものが問題だ。総理自身に裏金事件の反省がない」と批判しました。
重い国保料負担逃れる
維新に語る資格なし
山添氏は、「現役世代の社会保険料負担軽減」を掲げて自民党と日本維新の会が連立合意した高市自維政権下で、実際は健康保険料負担が重くなっていると追及しました。
今年度の保険料は、年収320万円の単身世帯の場合、中小企業の従業員が多く加入する協会けんぽで月額300円、自営業者やアルバイト、年金生活者が加入する国民健康保険で500円の値上げになりました。山添氏はその原因について、政府の「子ども・子育て支援金」制度の負担のためだとし、「子育て支援策の財源を医療保険料への上乗せでつくることが筋違いだ」と主張。上野賢一郎厚生労働相は負担が増えていることを認めました。
より負担の重い国保の保険料は今年度、85%以上の自治体で値上げされました。山添氏はその原因は、政府が負担軽減を口実に財政運営を市町村から都道府県に移した影響によるものだと指摘。山添氏は公費での負担で保険料を軽減するよう主張しました。国保制度を巡っては、政府が市町村ごとに運営していた国民健康保険制度を2018年度から都道府県単位に集約し、自治体独自の保険料軽減措置(一般会計からの繰り入れ)を抑制してきました。
山添氏は、維新の議員が個人事業主が一般社団法人の役員などに形式的に就任して社会保険に加入し、本来支払うべき国民健康保険料(税)の負担を免れる「国保逃れ」を行っていたことを批判し、逃れた人数や保険料負担の総額をただしましたが、維新から入閣した中司宏規制改革担当相は開示を拒否。山添氏は「維新に保険料負担を語る資格はない」と重ねて厳しく批判しました。
侵略戦争の見解ただす
歴史認識直接語らず
高市首相は今年の終戦記念日の戦没者追悼式の式辞で、歴代首相による「戦争の惨禍を繰り返さない」との表現を変更し「繰り返させない」と述べました。山添氏は首相の歴史認識を問い、「誰に繰り返させないという意味か」と追及。首相は「誰をもってしても」二度と繰り返させないという意味だと答え、戦争を繰り返さない主体を曖昧にしました。
山添氏は「先の戦争が日本による侵略戦争と植民地支配という認識はあるか」と質問。高市首相は、安倍晋三首相(当時)の戦後70年談話が歴代内閣の立場は今後も揺るがないとしている通り「高市内閣としても歴代内閣の立場を全体として引き継いでいく」と述べるだけで、自らの歴史認識は直接語りませんでした。
山添氏は、植民地支配への「反省」や「おわび」を表明した戦後50年の村山富市首相談話も引き継ぐのであれば、「日本政府が戦争を繰り返さない」と約束すべきだと主張。重ねて首相の見解をただしましたが、首相は「誰をもってしても繰り返させないということだ」と同じ答弁を繰り返しました。
山添氏は、日本国憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」たと表明していると強調。「誰をもってしても」とごまかす首相を批判し、「憲法と歴史の事実に基づき、国民にもアジアの人々にも誠実に向き合うべきだ」と求めました。
消費税減税 2年に限定
根拠なし いいかげん
政府の「消費税・支援金法案」は2年限定で飲食料品の消費税を1%にし、2年後に就業者負担軽減支援金を本格導入するというもの。山添氏は、高市首相が2月の総選挙にあたり「悲願」だと強調した食料品消費税減税は「たった2年の悲願か」と批判。2年後に経済状況がどうなっていても税率を8%に戻すのかとただしました。
高市首相は「減税は支援金の本格実施までのつなぎとして行う」とし、2年後の増税は「支援金によってマクロ経済的なインパクトは緩和される」などと答弁しました。
山添氏は、消費税減税は全ての人が対象となるのに対し、支援金は就労者の3割が対象との目安が出されているが、全体のごく一部しか対象にならず、全く別物だと追及。高市首相が「別だ」と認めたのに対し、山添氏は「つなぎでも何でもない。2年後の物価高の状況もわからないのに、根拠もなく減税を2年間に限定するいいかげんな政策だ」と強調しました。
財源について首相は「具体像は予算編成プロセスで明らかにするのが正道だ」と強弁し、全体的な税収増や税外収入、基金・剰余金の見直しなどを例示するだけでした。山添氏は「全然見通しが立っていない。物価高で税収は伸びているが、その分政府支出も増えている。増えた分が全て給付や減税のために充てられるのではない」と批判しました。
山添氏は物価高対策として消費税を一律5%に減税しインボイスも廃止する日本共産党の提案を紹介。大企業や富裕層への優遇をただし、公正な税制への転換を求めました。内部留保が600兆円にのぼる大企業の法人税の実質的な負担率は10・9%で、小規模・中堅企業の半分にすぎないと指摘。「研究開発減税などはもっぱら大企業が利用し、年に12兆円も減税されているからだ」と述べました。
一方、連立与党の日本維新の会は中小企業への支援制度の廃止を主張しているとし、「高市政権は大企業優遇を温存し中小企業支援を改めるのか」と追及。高市首相は「必要性を見極めて丁寧に議論する」などと述べ、明確な回答を避けました。
山添氏は、大企業への優遇税制こそ改めるべきだと強調。与党が5年前から法人税減税は「成果を上げていない」と認めながら優遇を続けているのは問題だと述べました。
さらに、国債の金利上昇に対する政府の姿勢をただし、「アベノミクスで異次元の金融緩和を続け、安保3文書で異次元の大軍拡に走り、高市政権がさらに放漫財政を続けている。自民政治が最大の原因だ」と重ねて批判しました。
ICC制裁 政府の対応
米に直接撤回を迫れ
山添氏は、トランプ米政権が、ジェノサイド(集団殺害)など重大な国際犯罪で個人の刑事責任を追及する国際刑事裁判所(ICC)の解体を狙い、ICCを制裁対象に指定した問題への日本政府の対応を追及しました。
山添氏は、日本のICC加盟(2007年)や、ICCが常設の機関であることの意義を質問。茂木敏充外相が「国際社会における重大な犯罪行為の撲滅及び予防並びに法の支配の徹底に寄与するとの見地から有意義」だなどと説明したのに対し山添氏は「個人の不処罰を許さないとのわが国の決意」とした政府の別の説明も示し、「解体されれば、ロシアやアメリカ、『法の支配』を軽視する安保理常任理事国のもとで国際法廷を設置し戦争犯罪を裁くことは期待できない。解体は決して許されない」と強調しました。
山添氏は、今回の制裁決定直後に茂木外相が「ICCが抱える課題にICCや締約国が対処すべきだ」と主張していたが、「問われているのは不当な制裁とたたかうことであり、ICC側を非難することではない」と批判しました。
フランス、ドイツ、南アフリカ、欧州連合(EU)など多くの国や機関が制裁を批判し、日本を含むICC締約国会議の議長団が制裁の即時撤回を求めていると指摘。高市首相に対し、トランプ大統領に直接撤回を求めるべきだと迫りました。高市首相は「詳細は差し控えるが、日本の一貫した立場を踏まえ言うべきことをしっかり伝えている」などと弁解しましたが、直接撤回を求めたとは述べませんでした。
山添氏は「日本の立場と相いれない態度をトランプ政権が取っているなら正面から批判すべきだ。日米同盟強化ありきの対応は通用しない」と断じました。
11月末からのICC締約国会議にどう臨むのかとただし、アジアの非加盟国に加盟を呼びかける外交が必要だと主張。茂木外相が「単に撤回しろ、入れということで進まないのが外交だ」などと開き直ったのに対し「『法の支配』を広げる側に立つべきだ。批判すべきは批判しなければ伝わらない」と批判しました。
核兵器廃絶 逆行の姿勢
核軍拡競争阻止こそ
山添氏は、高市政権が国是の非核三原則のうち、国内に核を「持ち込ませず」について見直しの検討を進めるなど「核廃絶」に逆行する姿勢を厳しく追及しました。
14日の衆院予算委で高市首相は、年末の安保3文書の改定に向け、「緊急時」に持ち込みを例外的に認めることを念頭に、非核三原則の「持ち込ませず」は「表現ぶりに検討の余地がある」などと踏み込んだ発言を行いました。
山添氏が「持ち込ませず」とは核兵器を搭載した艦船の一時的な寄港も認めないということかとただすと高市首相は、認めないとの認識を示しました。
山添氏は、一方でトランプ米政権は海洋発射の核巡航ミサイル(SLCM―N)の開発・配備計画を進め、中距離核戦略全廃条約(INF)を失効させ、使える核として戦術核の増強に踏み出していると指摘。「非核三原則の見直しは、米国の核戦略の変更に合わせて日本への核持ち込みを認めようとするものだ」と批判しました。
また、米国は、対中国やロシアを念頭に新たな核戦略を策定するなど、米中ロの核軍拡競争を容認するのかと迫ると小泉進次郎防衛相は、核の増強政策を宣言したフランスなどを挙げ「あらゆる選択肢を排除せず、検討していくのは当然だ」などと開き直りました。山添氏は「核軍拡競争をやめよとの立場こそ必要だ」と主張しました。
山添氏は、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議で、アイルランドなどの非核保有国が、条約第6条に基づく核軍縮の履行状況などについて「報告書」の提出を核保有国に義務づけるなどの内容の作業文書を提出したことに言及。核保有国が核の増強政策に走るなか、「核軍縮義務の履行状況を透明化し、説明させるべきだという当然の方針だ」と指摘しました。
さらに山添氏は、核兵器禁止条約への参加を求める382万人分の署名が政府に提出されたことに言及し、来月に開催される再検討会議に出席するよう要求。首相は「慎重に検討する」などと後ろ向きの答弁に終始しました。山添氏は「核兵器使用の危険が高まる中だからこそ参加すべきだ」と強調し、米国を忖度(そんたく)するあまり、核廃絶を究極の目標に追いやってはいけないと述べました。

