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2026年10月19日

主張

北陸新幹線延伸
恣意的手法での決定許されぬ

 北陸新幹線の延伸(敦賀―新大阪)をめぐり、自民党と維新の会が求めるルートを何がなんでも進めるための計算手法がとられたとの疑念が噴出しています。国土交通省が示した費用対効果の計算方法です。

 京都の環境や生業(なりわい)を破壊し沿線自治体に多大な負担を強いる「小浜・京都ルート」ですが、同ルートに有利になるような数値が出されていると京都市民、府民や鉄道に詳しい専門家は指摘します。

 もともと工事着工には費用対効果が1・0を超えることが必要とされていました。国交省が提示した資料によれば、北陸新幹線延伸区間8ルートを比較した費用対効果(個別評価)では、米原駅(滋賀県)で東海道新幹線に乗り換えるルートだけが1・0でした。京都市内の地下深くトンネルを掘る小浜・京都ルートは南北案、桂川案の2案とも0・5、その他のルートも0・5から0・7でした。

■おかしな点幾つも

 ところが国交省は、「個別評価」とは別に「一体評価」として、すでに開業済み区間を含む北陸新幹線全体(東京―新大阪)の比較も提示しました。そこでは、小浜・京都ルートは2案とも1・1、他はすべて1・0で、一転して小浜・京都ルートが有利になりました。

 「新たな環境影響評価手続きの必要性」などの理由で、小浜・京都以外のルートの着工を7年繰り下げたと想定し物価上昇分を上乗せしました。統一した条件で算定を行わなかったのです。

 おかしな点は幾つもあります。延伸区間では、小浜・京都ルートは米原ルートに比べ多くの建設費用がかかっています。ところが一体評価=全区間でみると、小浜・京都ルートは米原ルートより建設費は低くなりました。開業ずみの区間が6割以上安くなっているためです。

 すでに開業した区間の建設費も両者違う算定に基づいており、小浜・京都以外のルートが着工繰り下げの上積みで高くなっています。

■出口ありきで作為

 国交省は、一体評価を用いた算定方法について、鉄道プロジェクトの評価手法改定に関する同省の有識者会議の議論を踏まえたと説明します。しかし、議論の経過は公表されておらず、正式なマニュアルにも反映されないまま恣意(しい)的に結果が出された疑いが払拭できません。

 延伸計画をめぐっては自民・維新の与党整備委員会が7月に、JR京都線桂川駅を通る小浜・京都ルート桂川案を決定しています。

 しかし、京都市内をぶちぬき地下深くトンネルを掘る小浜・京都ルートは、地下水への影響、有害物質を含む排出土の処理、沿線自治体の莫大(ばくだい)な建設費負担など問題が山積しています。住民の反対も根強く、与党からも「どのルートも難しいかもしれない」との声が出るほどです。

 国交省による不透明な費用対効果の計算方法は、小浜・京都ルートという「出口ありき」の作為的なものと言わざるを得ません。ごまかしの計算に基づくルート決定は取り消し、北陸新幹線の延伸計画そのものを中止すべきです。