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2026年10月14日

主張

米国のICC制裁
「法の支配」破壊の暴挙許すな

 トランプ米政権が発表した国際刑事裁判所(ICC)本体への制裁は「法の支配」に基づく国際秩序を破壊する暴挙です。すでに制裁対象に指定されている赤根智子ICC所長が断固拒絶し、ICC締約国会議の議長団21カ国が即時撤回を求めたのは当然です。世界中で声を上げ、撤回させなければなりません。

 ICCが設立されたのは「20世紀の間に多数の児童、女性及び男性が人類の良心に深く衝撃を与える想像を絶する残虐な犠牲者となってきた」(ICCに関するローマ規程)ためです。集団殺害、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪を指導、実行した者を裁きます。ウクライナ侵略でロシアのプーチン大統領、パレスチナ・ガザ地区攻撃でイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出しています。

■歴史に逆行の攻撃

 トランプ大統領は以前から、海外で活動する米政府・軍幹部らが起訴されかねないとし、ネタニヤフ首相への逮捕状発行にも反発していました。9月の国連総会演説ではICCを「ならず者機関」と中傷し、加盟国に脱退を呼びかけました。

 今回の制裁発表は、元ICC裁判官、ナビ・ピレイ氏のノーベル平和賞授賞が発表された数時間後でした。同氏への授賞理由は、国際機関が「巨大な圧力、制裁」を受けている中での平和と国際法への貢献とされています。「国際法はいらない」と公言するトランプ大統領に対して、名指ししてはいませんが、国際法こそが平和と人権の礎であるという意思表示です。制裁発表がこれに対抗する攻撃であることは明らかです。

 制裁が発動されれば、ICCは米国の金融機関を利用できなくなるなど機能まひに陥りかねません。

 人類は戦争そのものとともに、戦時の残虐行為をなくす努力を続けてきました。第2次世界大戦後にはニュルンベルク裁判と東京裁判が戦争犯罪者を裁きました。

 こうした歴史を踏まえて各国が加入する常設の司法機関をつくり、戦争を巡る犯罪を捜査、起訴し犯人を罰し、被害者を救済しようとするのがICCです。その解体は、世界史を逆行させるたくらみです。

■首相は撤回を迫れ

 トランプ政権の攻撃からICCを守ることは「力の支配」の正当化を許さず「法の支配」に基づいて平和と人権を守り発展させる闘いです。すべての国が対応を問われています。

 日本はICC締約国議長団の一員として制裁撤回を求めた声明に加わりました。英仏独など8カ国の反対声明にも参加しました。しかし、高市早苗首相は「ICC支持」は言うものの、トランプ大統領への批判や抗議は表明しません。直接撤回を迫るべきです。

 首相には、締約国の首脳としてICC解体を阻止する責任があります。口をつぐんでやり過ごすのではなく、ICCに対する追加資金の拠出や使用できなくなる金融・ITインフラの代替確保、国内企業に米国の制裁に従うことを禁止するなど、具体的な支援策を検討すべきです。