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2026年10月7日

NEWS追跡 「裏金問題で支持者逃げた」

簗農水相が“予算減らした”地元では
栃木・那須烏山市、那珂川町

 自分を総選挙で支持しなかった首長の自治体予算を「減らした」と発言した簗和生農水相。道路予算を減らしたとする栃木県那須烏山市と那珂川町を訪ねると、「議員の風上にもおけない」「大臣にした高市早苗首相の考えがわからない」と憤る声が次々聞かれました。(西森知弘、吉岡淳一)


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(写真)議会の入る那須烏山市役所南那須庁舎=4日、栃木県那須烏山市

 「(簗氏に)投票した人はいっぱいいたわけで、地域で勝てないから(予算)カットなんて。軽率な発言。支持者への裏切り行為だ」

 こう話すのは、那須烏山市の元市議会議長、中山五男さん(89)。現役の自民党員で、直近の総選挙以外は、簗氏当選のため、選挙をたたかってきました。それだけに今回の発言について「非常に残念」と何度も繰り返しました。

 簗氏は、1746万円の裏金が発覚して2024年、6カ月の役職停止処分を受けました。今年2月の総選挙で、栃木3区から比例重複で立候補し、小選挙区では落選。比例復活で当選しました。

 中山氏は「裏金議員としてたたかれたのに、(農水相に起用するのは)総理大臣の考えはわからない」と高市首相の判断に懐疑的です。

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 同市の保守系市議も「(簗氏が裏金をつくっていた事件について)私は悪くない。派閥に言われたからそれに従っただけだとの釈明だけだった。そんな発言は聞いていられない話だ。今回の(自治体の予算を減らした)発言でも逃げ切ろうと思っているようだが、そうはいかない」と語気を強めます。

 那珂川町の自民関係者は「われわれが(簗氏に)期待していたのは、『今回の裏金問題は申し訳なかった』のひと言。しかし『私は正しい処理をした、何にも悪くありません』と。こういう言い方をしたんで、それで随分支持者が逃げていった」と憤ります。

 それでも直近の総選挙も簗氏当選のため活動し「非常につらい立場だった」と吐露します。選挙を振り返り「小選挙区で落選したのは裏金議員だから」と断言しました。

“自民議員を頼る所に多く回すの当たり前” 簗農水相に地元怒り

「道路予算は死活問題だ」 脅しまがいに「なぜ辞めぬ」「追及を」

 栃木県大田原市にある簗和生農水相の事務所を4日の正午ごろ訪ねると、入り口には高市早苗首相と簗氏の連名ポスターが貼られ「不動の信念」と記載されていました。中に入ると、閣僚就任を祝う農協や関係団体・企業などから送られた胡蝶蘭(こちょうらん)で埋め尽くされていました。関係者に今回の発言について尋ねても「私には対応できない」と答えるのみでした。

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 那須烏山市に向かい、渋井由放(ゆうほう)市議=無所属=に会いました。仲間内の自民党だけでなく「私がこの選挙区からいなくなったら、完全に予算が切られます」などと市民に対しても脅しまがいの発言をしたことに「選挙に負けた腹いせだ。議員の風上にもおけない」と激しい口調で憤りをあらわにします。

 そして、高市早苗首相があえて裏金議員の簗氏を閣僚に任命したことに「大いに責任がある」と批判します。

報じられた音声

 簗氏は、自民党内の集会で首長の支持や票数を理由に「那須烏山市は前年度の64%減、那珂川町は54%減にした」などと発言した音声データが週刊誌や地元紙に報じられました。

 簗氏は、住民の命に関わる河川の予算には手を付けなかったとも発言しています。別の保守系市議は「そんなことはない。道路も住民の生命線、死活問題だ。毎年計画的に一つずつ進めていくわけで、それが止まれば何年も何年も遅れてしまう」。

 多くの市民から「なぜ予算を削ったのか」「議会は対応してほしい」との声が市議会に寄せられていると言います。

 簗氏の発言に「支援した私からすると残念」と話すのは、那珂川町の自民党関係者です。「町の道路は狭くて、みんな改善に期待しています。しかし予算が減って予定していた工事もストップして、仕事がなくなる人もいるし、がっかりしているだろう」と言います。

議員として失格

 同町小川にある入浴施設の外で日焼けしたつなぎ姿の男性(50)が休憩していました。男性は町内に住み、地元の土木関連で働いています。簗氏の発言に「道路予算削減で仕事も減らされたらたまらない。大臣を辞めると思ったのに辞めない。大々的に追及してほしい」と興奮した面持ちで話しました。

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 那須烏山市の日本共産党の平塚英教(ひでのり)市議は「今回の発言は、栃木3区の有権者に『俺に逆らうと那須烏山市や那珂川町のように予算を削る』という恫喝(どうかつ)になる」と厳しく指摘。「民主主義を否定するあってはならない発言であり、閣僚としても国会議員としても失格です」

簗氏を支援の2市町予算増

 2月の衆院選で簗和生農水相を支援した首長がいる自治体で交付金が増額されていることが6日、自治体への取材でわかりました。

 簗氏が立候補した栃木3区=落選、比例復活=にある自治体のうち、那須塩原市、矢板市、那須町の首長は簗氏を支援していました。そのうち那須塩原市と那須町では、国土交通省から交付される道路関連の社会資本整備総合交付金が増額していました(矢板市は未申請)。

 那須塩原市が2025年度に1億3175万1000円を申請したうち、国が交付したのは1億828万円。交付率は82・2%でした。衆院選を経た今年度は1億2398万円を申請したうち、1億2024万円が国から内示されました。交付率は96・9%とほぼ満額が認められたかっこうです。交付額も25年度から1196万円増えています。

 那須町は25年度、1230万7000円交付されましたが、今年度は1648万8000円となっており、418万1000円増えていました。

 交付率は、25年度の37・9%に対し、今年度は75・6%となっています。「増額された理由は分かりかねる」(那須町)としています。

 首長が簗氏を支持せず、簗氏が「那須烏山市については前年度の64%減、約3分の1にしました。そして那珂川町は54%減にしています」とした自治体とは対照的です。