日本共産党の田村智子委員長が5日の臨時国会開会に当たって開かれた党国会議員団総会で行ったあいさつは次のとおりです。
(写真)あいさつする田村智子委員長=5日、衆院第1議員会館
はじめに、地震災害、各地の豪雨・台風災害で亡くなられた方々への心からお悔やみと、被災された方々への心からのお見舞いを申し上げます。
この間、被害状況や要求の聞き取り、緊急の要請など、議員団みんなで取り組んできました。生活と生業(なりわい)の再建へ、いよいよ、これまでの支援策の抜本的な見直しが求められます。
また、地震などの大規模災害の際、1次避難所が100年前と同じ雑魚寝という実態を改善することが急務となっています。政府は、TKB48(トイレ・キッチン・ベッドを発災から48時間以内に避難所に整備する)の指針を示すだけでなく、これが確実に実行されるよう、自治体だけではなく、国としての備蓄と支援体制を構築するよう強く求めるものです。
沖縄米兵による女性強殺事件
満身の怒りを込めて糾弾する
新基地建設の中止・普天間撤去を
昨日、沖縄・米軍普天間基地所属の海兵隊員が、女性を殺害した容疑で逮捕されました。繰り返される米兵による重大犯罪を、満身の怒りをもって糾弾するものです。
政府は、重大な事件が起きるたびに、在日米軍に綱紀粛正を求めていますが、女性や子どもの人権が踏みにじられる事件は後を絶ちません。沖縄での米兵等による事件・事故は、2020年以降、急増し、昨年の米軍人・軍属の検挙数は100件を超えました。
重大な事件・事故が起こり続ける根っこには、米軍特権を幾重にも認める日米地位協定のもとで、低空飛行や危険な訓練も米軍のやりたい放題、世界一危険な基地といいながら普天間基地の閉鎖・撤去が30年間進まない。こうしたあまりにも屈辱的な対米従属の政治があるのではないでしょうか。
米兵犯罪に断固抗議するとともに、日米地位協定の抜本的な見直しに踏み出すこと、辺野古新基地建設を中止し、普天間基地の即時閉鎖・撤去を強く求めます。沖縄のみなさんと連帯して奮闘しましょう。
消費税減税--まともな減税を求める大きな闘いを起こそう
臨時国会での焦点となる問題について、4点述べます。
ひとつは、臨時国会の最大の焦点である消費税減税で、まともな減税を求める大きな闘いを起こすことです。
物価高騰は、そのまま消費税の負担増となり、国民の暮らしも、中小企業も、大きな困難に直面しています。
この困難に真剣に向き合い、まともに応えようという姿勢があるならば、「2年限定、食料品だけ1%」などという案が出てくるはずがありません。2年後、何があろうとも税率を戻す、これは大増税と、それを要因とする大不況を宣言するのと同じです。
「支援金」を支給するといいますが、さまざまな事情で就労が困難な人、年金生活者は除外。また、示された支給要件の案から試算すると、支援金の対象は国民の1割程度という可能性が高い。圧倒的な国民には大増税だけがのしかかる。しかも、食料品1%も支援金も、その財源は今後の検討だという。税制を変える、恒久的な給付金制度を創設しようというのに、財源を示さないなど、およそまともな政策とは言えません。世論調査でも、「消費税減税をしてほしい」という要求とともに、「財源を示すべきだ」が多数となっています。これは当然の世論です。
暮らしを本気で守ることと、公正な税制への改革は一体不可分です。全ての消費税を5%に、財源は、大企業・大株主・大資産家への減税・税優遇を見直す=「タックス・ザ・リッチ」で! インボイスは一刻も早く廃止を! この世論と国民的な闘いを何としても起こし、広げようではありませんか。
自維による議員定数削減許さない
緊急の共同に全力で取り組もう
二つは、自民党と日本維新の会による民主主義破壊を許さないために、立場の違いを超えた緊急の共同に全力で取り組むことです。
10月2日、衆議院・参議院の野党国対委員長による会談で、与党の議員定数削減法案の審議を「野党全党で阻止していく」ことが確認されました。
市民の中にも運動が急速に広がっています。9月15日、研究者・弁護士・市民団体代表など40人の女性たちが呼びかけ人となって、「議員定数削減反対! 緊急アクション」がスタートし、あす6日、院内集会も行われます。「女性やマイノリティーの多様な意見が排除される」という訴えに、共感が広がっています。こうした市民のみなさんの運動としっかり手をつなぎ、国民的な世論と運動を起こすために奮闘しましょう。
民主主義破壊の問題として急浮上しているのが、簗和生(やな・かずお)農林水産大臣による公職選挙法違反の疑惑です。
総選挙の街頭演説で、“自民党公認の私に一票を入れないのなら、この地域の公共事業の予算が削減される”と有権者を脅す、さらに、自分を応援しなかった首長の自治体では道路予算を「大幅カットした」「当たり前だ」とまで発言した。私も音声データを聞いて驚きました。誰も誤解しようがない、買収疑惑ではないでしょうか。だいたい国の財政は、自民党の財布ではありません。そんなこともわからない人物に、大臣の資格はありません。国会議員としての資格も問われます。
そもそも、簗氏は政治資金パーティーで、1746万円もの不記載が判明した「裏金議員」です。こうした議員を閣僚に任命し、重大な発言が明らかになっても何の対応もしない、高市首相の責任が厳しく問われています。
簗氏が指摘した自治体では、道路予算が削減されており、事実の究明と説明、そして簗農水大臣の更迭・辞任を求めるものです。
こんな米国言いなりで良いか--「憲法9条守れ・大軍拡反対」の国民多数派結集に力を尽くそう
三つ目に、「こんなアメリカ言いなりで良いのか」「日米同盟の抑止力強化で平和が訪れるのか」――このことを正面から問い、「憲法9条守れ・大軍拡反対」の揺るがない国民多数派を結集する闘いに力を尽くしましょう。
いま、沖縄の海兵隊を含め、在日米軍は無法なイラン戦争に参戦し、在日米軍基地はその出撃拠点となっています。
私は改めて、高市首相に問いたい。欧州では、スペインもイタリアもイラン戦争での米軍基地使用を拒否しているのに、なぜ日本は黙認を続けるのか。国連総会で、イラン攻撃を正当化し、戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所(ICC)を「邪悪な集団」「ならず者」と言い放ち、解体を主張するトランプ大統領に、あくまでも付き従うというのか。
それは、日本が、トランプ大統領とともに「法の支配」を否定し、戦争犯罪を容認するという、恥ずべき国になるということではありませんか。
トランプ政権の要求のままに、長射程ミサイルを大量に配備し、自衛隊を米軍の指揮統制のもとに深く組み込む大軍拡は、もはや憲法9条と相いれません。安保3文書の改定で、武器輸出全面解禁に続き、非核三原則を放棄する、GDP(国内総生産)比3・5%、24兆円という未曽有の大軍拡に突き進めば、暮らしも平和も破壊される。そんな道を歩むわけには絶対にいきません。
わが党の大軍拡批判に対して、高市政権は「中国の脅威」をあおり「抑止力強化」と主張しますが、中国との関係で最も問われているのは、高市首相の「台湾発言」によって、政府間の対話ができない状態に陥っていることです。アメリカを含め、どの国の政府も、批判を持っていても中国との対話を行い、関係を構築する努力をしています。それが外交です。
アメリカ言いなりで良いのか、中国との関係をどうするつもりなのか―この声はいま立場の違いを超えて広がっています。国会での論戦とともに、「戦争はイヤ」という共通の思いを入り口にした対話・学習を国民の中に思い切って広げて、アメリカ言いなりの大軍拡も、9条改憲も許さない国民多数の結集に全力を尽くそうではありませんか。
最先端AI開発競争の停止・中止、民主的規制と軍事的利用の禁止へ国際社会と日本に強く呼びかける
最後に、人間社会にとっての重大な問題として、最先端AI(人工知能)の開発競争の停止・中止、AIの利用の民主的規制と軍事的利用の禁止へと、国際社会と日本が動くことを強く呼びかけます。
10月1日、党議員団は、AI開発競争がもたらす危険から国民と人間社会を守るため、日本政府がただちに行動を起こすよう政府に申し入れを行いました。
AIは、労働時間の大幅な短縮、科学の発展、医療や健康など、さまざまな面で人類に大きな恩恵をもたらす可能性があります。一方で、アメリカの巨大企業から、開発中のAIが人間の指示にそむき、人間を欺く行動をとる事例が相次いで報告され、数百人の開発者たちが、最先端AIが人間の制御を離れて暴走し、人間社会に破滅的な打撃をもたらす深刻で重大な危険があると警告しています。私たちはこの警告を正面から受け止め、国際社会と日本政府に働きかけていく決意です。
最先端AIの開発競争を停止・中止するために、国際協定を緊急に結ぶことを呼びかけます。AIの利用についても、軍事利用の中止、巨大企業での「AIリストラ」など雇用破壊、労働強化、また巨大データセンターによる環境破壊、個人情報やプライバシーの侵害などを防ぐための民主的規制を緊急に求めるものです。
この間、日本の政治は「AI利用・開発促進」ばかりが強調されてきましたが、今やフェーズ(局面)が明らかに変わっています。日本政府が、科学的な根拠をもつ警告を真剣に受け止めて行動することを強く求めていこうではありませんか。
綱領一部改定案を力に国民の中に打って出て反転攻勢へ
4点で述べましたが、国民の苦難軽減、国民の切実な要求実現へと、闘いは多岐にわたります。
日本共産党が、どんな問題でも、国民の利益に立ってブレずに奮闘するその土台には、自民党政治の二つのゆがみ「アメリカ言いなり」「財界・大企業最優先」をただして、国民が主人公の新しい日本をつくるという日本改革の展望、さらに資本主義の利潤第一主義がもたらす害悪と闘い、資本主義を乗り越えて「人間の自由が花開く」社会主義・共産主義を目指す、という大展望を綱領に明記しているからにほかなりません。
来年1月の党大会は、日本共産党綱領の一部改定を議題とする歴史的な大会となります。綱領の一部改定は、「社会主義・共産主義の社会をめざして」を中心に行い、その他の章も必要不可欠な修正・補強を行い、綱領の全体を、現時点で考え得る最良のものとなるように準備しています。来週行われる第10回中央委員会総会で議論し、全党に提起しますので、党員のみなさんはもちろん、多くの国民のみなさんにもお読みいただきたいと思います。
いま、自民党政治と国民の要求との矛盾が噴き出しはじめています。高市政権の国会軽視の強権政治に疑問や懸念、そして危機感が広がっています。
このもとで、高市政権と正面から対決し、自民党政治を変えようと、国民の中に根を張り、国民とともに闘う日本共産党の存在意義が、広く国民から見えやすい情勢が開かれつつあります。
国会議員団、事務局のみなさん、国会での論戦とともに、綱領一部改定案を力に、国民のなかに大きく打って出て、日本共産党の反転攻勢を勝ち取っていこうではありませんか。党勢での後退から前進に転じて、来年の第30回党大会を大きく成功させる、その先頭に立って奮闘することを心から呼びかけて、あいさつといたします。

