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2026年10月6日

主張

高市首相所信演説
感じられぬ国民生活への関心

 「私が貫く志は『経世済民』だ」―。高市早苗首相は所信表明演説の冒頭で「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」をかかげ、最優先課題に「国民の暮らしを守る」をあげました。しかし、所信では医療・介護などの社会保障や教育、子育て、ジェンダーなど国民の暮らしに関わる問題に一切ふれていません。

■大規模な政府投資

 代わって高市首相が繰り返し強調したのが「投資」による「成長」です。「成長なくして」「賃上げは続かない」「税収も上がらない」「社会保障の充実もない」とのべ、“成長ありき”の姿勢を貫いています。

 「成長」のために高市首相が必要だとするのが「危機管理投資」「成長投資」です。その中身はAI(人工知能)・半導体、航空・宇宙、軍需産業など17の戦略分野への政府による「大規模かつ長期の」財政出動。要するに大企業への税金のばらまきです。

 投資には当然リスクが伴います。失敗のツケを払わされるのは国民です。しかし、高市首相は「技術で勝って、ビジネスでも勝つ」と威勢よく煽(あお)るばかりで、リスクについては一切語りません。

 高市首相は「持続的な『成長の好循環』へと発展させる」と豪語します。しかし、投資の利益が国民に還元される道筋は全く示されていません。仮に、政府が主導する投資で大企業が利益を増やしても、賃上げや地域経済に還元される保証はありません。

 これまで自民党政権は、財政出動、減税や規制緩和などで大企業支援を続けてきました。ところが、大企業がいくら儲(もう)かっても、賃金の上昇につながらないことは、この30年間ですでに実証済みです。

 大企業支援の一方で、国民の暮らしに切実に求められている物価高対策では、2年間限定の食料品の消費税率1%への引き下げ以外めぼしいものはありません。食料品限定では、外食産業や農業に打撃を与え、フリーランスや中小事業者をインボイス制度で苦しめるうえ、2年後に大増税です。これでは、とても暮らしの安心につながりません。

■募るばかりの不安

 高市首相は「『責任ある積極財政元年』の幕開けだ」と大見えをきります。しかし、巨額の財政出動による財政悪化の懸念から円安が進み、物価が高騰すれば、消費税減税の効果は極めて限定的になります。

 消費税減税の財源についても「特例公債に頼らず確保する。心配には及ばない」としますが、具体案は示されず不安は募るばかりです。

 所信では、改めて軍拡路線を打ち出しました。高市首相は「防衛力の抜本強化のため、年末までに(安保)『3文書』を見直す」と主張。防衛力強化を「成長戦略」と結びつけ、大軍拡を正当化しています。しかし、これまで以上の軍拡をすすめれば、社会保障、教育、子育てなど国民生活を支える財源が圧迫され、削られることになります。

 所信からは国民生活への関心がまったく感じられません。暮らしから遊離し、大企業支援という破綻した路線を突き進めば、「民」は「済(すく)われる」どころか、ますます苦しむことになります。