安全保障に関する政府の有識者会議に、大手メディアの経営トップが相次いで出席しています。権力を監視すべき立場のはずが、政府と一体で軍拡の推進役を担っています。憲法の平和原則を揺るがし、「平和国家」の看板を投げ捨てる大軍拡を、メディアが政府と一体になって推進することは、「権力監視」という役割を放棄するだけでなく、侵略戦争推進の反省という戦後の出発点を否定するものです。
今年末の安保3文書改定に向けた有識者会議「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」には、読売新聞グループ本社の山口寿一社長と、フジテレビの清水賢治社長が名を連ねています。現行の安保3文書策定のため2022年に設置された有識者会議にも読売の山口氏に加え、「日経」・「朝日」の幹部、元幹部が出席していました。
なかでも突出しているのが山口氏です。現在、安保3文書改定の有識者会議に加え、「スパイ防止法」の制定などに向けた「インテリジェンス機能の強化に関する有識者会議」にも入っています。
22年の有識者会議の議事録によると山口氏は、敵基地攻撃能力の保有を当然視し、政府主導で軍需産業を強化するよう提言。「世論の理解を得る努力がとても重要だ」などと繰り返し主張し、第4回会合では「メディアも防衛力強化の必要性について理解が広がるようにする責任がある」などと軍拡容認の世論づくりを進める決意を示しました。
山口氏は、24年2月~26年3月には防衛省の「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」にも出席。安保3文書改定の方向性を示す会議です。警察や自衛隊がインターネットを監視し侵入する「能動的サイバー防御」の導入に向けた有識者会議にも名を連ねていました。
これらの「有識者会議」は政府側が思惑通りの結論を得るためのメンバーを集め、「議論を尽くした」というお墨付きを得るのが狙いです。そのため、何度も異なる有識者会議のメンバーに選ばれる“常連”がいます。山口氏もその一人として利用されている可能性があります。

