中部電力は浜岡原発の基準地震動捏造(ねつぞう)事件で、規制基準適合性審査の申請を取り下げ、林欣吾(きんご)社長、勝野哲(さとる)会長、水野明久相談役(元社長)の辞任を発表しました。しかし、浜岡原発の再稼働に固執する姿勢は変わっていません。
林社長は、社会から不信を招いたことを「深くお詫(わ)び」すると言いながら、「決して諦めることなく、再申請に向けた取り組みを進める」と表明しました。
申請取り下げやトップの辞任で幕引きとさせるわけにはいきません。
基準地震動は耐震設計の土台であり、その捏造は許されるものではありません。法令やルールを守る意思がない独善的な事業者には原発を扱う資格はありません。再稼働は断念すべきです。
■「今後も起き得る」
基準地震動の不正は、遅くとも2012年には行われていました。社長らが報告・相談を受けていた事例を含め、社内外からの指摘も何度もありましたが、是正されませんでした。
中部電力が公表した外部有識者による調査報告書は、「安全性には影響がない」「技術的には正しい」「再稼働の支障となる行為は認めるべきでない」などという「特異な考え方」で正当化していたとし、「自分たちが行った行為に問題があるとの認識を持っていないのではないか」とまで指摘しています。
報告書はさらに、この「特異な考え方」が組織的に共有され、是正のための指摘などを封じ込めてきたとし、「不祥事事案が今後も断続的に起き得るという懸念は払拭できない」としています。
東京電力福島第1原発事故は、設計想定を超える津波への警告を無視したことが重大な要因でした。浜岡原発をめぐる一連の経過は、中部電力が事故の教訓に背を向けていることを示しています。
原子力規制委員会は、設置許可取り消しも視野に入れた厳しい措置をとるべきです。
■業界で相次ぐ偽装
同時に、不正を見抜けなかった規制委のあり方も問われています。規制委は、中部電力以外の原発は調査不要としています。ルールを守らない独善性、ウソやごまかしは、中部電力だけではありません。浜岡を教訓に、全ての原発を調査すべきです。
最近では、日本原電が、東海第2原発(茨城県)の防潮堤基礎の工事不良を隠蔽(いんぺい)し、敦賀原発2号機(福井県)の審査で地質データを書き換えていました。
福島原発事故直後の11年には、九州電力や北海道電力が、行政による意見募集やシンポジウムなどに関係会社の社員から意見を出させるなどの「やらせ」を行っていたことが明らかとなりました。00年代には、東京電力の損傷隠しや検査データ偽装、北陸電力の臨界事故隠し、中国電力の検査不備などが相次いで発覚しました。
高市早苗政権は、規制委の審査に合格した原発の再稼働だけでなく、新規建設まで計画しています。しかし、このような業界に原発を運転させることはできません。福島原発事故を教訓に原発ゼロの日本こそ求められます。

