過去の私に“生きて”と言いたい。2年前、23歳の美萌咲(みもざ)さん(仮名)はそうつぶやきました。親からの性暴力に苦しみ、14歳で家出を繰り返すように。18歳のときに出会ったホストから売春を強いられました▼毎日、複数回、性売買の場に行かされました。逃げようとすると引きずって連れていかれました。「紛れもなく暴力だった」。性売買から抜け出して、そう思えるようになりました▼盗撮、恐喝、身体的暴力、暴言、薬物、望まない性行為…。密室で2人きりになる性売買の場で、“売る側”はさまざまなリスクを負います▼売春防止法改正に向けた法務省の検討会は「買春」処罰を見送る方針。「自発的に売っている」「性産業に影響を与える」などの意見が多数を占めたといいますが、これは“買う側”、搾取で“儲(もう)ける側”の視点です▼“売る側”はさまざまな事情を抱え、“買う側”に対して圧倒的な弱者です。貧困や虐待、だましや債務によって追い込まれ、「割り切り」「自己責任」と自分に言い聞かせながら、つらい人生を受け入れさせられてきた被害者の視点は欠如しています▼美萌咲さんから、検討会の結論には「悔しい気持ちでいっぱいです」とのメールが来ました。「ただ、70年変わらなかった法律にやっと光がほんの少しだけ入ったのかな」と一縷(いちる)の希望を、これからの運動に託します。ほっそりとした中に、凜(りん)とした強さのある明るい笑顔を思い出しました。
2026年9月29日

