28日は国際セーフ・アボーション・デー(安全な妊娠中絶の権利の日)です。1990年のこの日、中南米の女性ネットワークが中絶合法化のための行動を開始し、2011年から国連の行動デーとなっています。
19世紀初め、奴隷貿易禁止が広がったことで、奴隷主たちは、奴隷を増やす手段として奴隷女性たちに性的暴力を行い出産を強要。多くの女性たちは自らの命も危険にさらされるなか「中絶」を選択し必死の抵抗を行いました。
女性たちの運動により、1994年の国際会議でリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)が提唱され、21世紀に入って中絶に消極的なカトリック信者が多い国々でも中絶の合法化が実現しています。
現在、女性の中絶を禁止しているのは11カ国だけです。女性が、望まない妊娠に対して妊娠の継続を止めることは、大切な権利です。
■日本に残る高い壁
日本では先の国会で法改正が行われ、出産費用全額を公的保険で賄うことにかじをきりました。一方、中絶費用には十分な支援がありません。中絶費用は妊娠初期(12週まで)で7万~10万円程度、妊娠中期(13週以降)では40万~60万円程度と高額です。
政府統計によると2024年度に人工妊娠中絶を受けた女性は19歳が最も多く、次いで18歳です。中絶費用が、10代の女性の支払い能力を超える額に設定されていることは大きな問題です。加えて、配偶者同意要件も残っています。配偶者と連絡が取れず妊娠週数が過ぎ、中絶を医療機関に断られるという事例が後を絶ちません。
生理周期が不安定な人は、妊娠に気づくのが遅れる可能性が高く、妊娠週数がすすむほど体に大きな負担となります。
性交後72時間以内に服用する緊急避妊薬も7千円前後と高く、購入時に事前の薬局への連絡や対面での服用など利用者の心理面で大きな壁が立ちはだかっています。望まない妊娠に対する支援が整っていないのが現状です。
■人権据えた施策を
日本政府は、「少子化対策」として、健康な子どもを産むことには積極的です。高市早苗政権が出した「女性版骨太の方針2026」では、若い世代が妊娠・出産に向け健康を意識し、健康的な子どもを産めるようにするのが目的のプレコンセプションケア(受胎前ケア)教育が位置づけられています。
しかし現実には、産科を含む医療機関は減少し、長時間労働を加速させ、出産や子育てがしにくい社会となっています。大学の学費負担も高額で奨学金の返済を抱える人も多く、女性の給与は低いままです。
学校での性教育には背を向け、学習指導要領改定に向けた中央教育審議会(中教審)の「審議まとめ」でも、「包括的性教育」に向けた明確な方向が出ていません。人権を据えた施策が遅れています。
ジェンダー平等の核心にはリプロダクティブ・ヘルス&ライツがあります。産むことも産まないことも尊重する政治に転換していきましょう。

