(写真)浸水した倉庫。破れた袋から米があふれています=24日、千葉県成田市内
21日未明に関東を襲い、千葉県印旛地域に大きな被害を残した台風25号。印旛沼の堤防が決壊し、成田市では家屋や水田、倉庫など多くの建物が24日現在も水に漬かったままです。被害の爪痕がいまだ残る現場を日本共産党の三輪由美、浅野史子の両県議と荒川さくら成田市議とともに歩きました。(西森知弘)
刈り取り直後に
(写真)小倉毅さん
同市北須賀にある、農民運動全国連絡会(農民連)が使う倉庫には高さ80センチまで浸水し、米800俵が水に漬かりました。倉庫の上まで米袋が高く積まれていたところに浸水。水にぬれて米袋が破れやすくなって、上に積まれた米の重みに耐えきれず、下の米袋が破れました。さらに積み上げていた米袋が倒れて水に漬かり、多くの米がダメになりました。
農民連副会長で、成田市と栄町で米農家を営む小倉毅さん(66)は、「ダメになった米はどうしたらいいのか。飼料米にもならない。肥料にするしかないのか」と落胆します。
今年は雨が多く、小倉さんの水田では刈り取りが遅れましたが、台風前になんとか終えて倉庫に入れました。その直後の浸水でした。倉庫には他の農家から預かった米もあり、これから出荷するところでした。
小倉さんは「肥料も農機具も何もかも値段が上がる中、米の買い取り価格が下がってもともと赤字。さらに米が水没した。被害補償は必要だが、買い取り価格で計算されても赤字。農水省の言う米のコスト指標(1俵あたり2万535円)で被害額を計算してほしい」と話します。
北須賀で米を作るAさん(83)は、「これまで越水はあっても堤防決壊はなかった。こんなことははじめて」と話します。水害だけでなく、昨年の高騰した米価がさらに農家を苦しめています。「去年は1俵3万4000円程度で売れ、住民税が5000円から31万円に跳ね上がった。ところが今年は1俵1万2000円。赤字でもう限界だが、田んぼやめても世話をする人がいない」と話します。
同じく北須賀で米を作るBさん(80)は、生産コストを割り続ける米の買い取り価格に今回の台風が重なり「ガックリきたし疲れた」と話します。22日の午前7時に田んぼの様子を見にいくと、一面水浸しでビックリし、慌ててコンバインなどの機械を小高い場所に移しました。「気候変動でこれからもこういうことは起きる。軍拡より農産物にお金をかけるべきだ」と話しました。
養魚場、飲食店も
市内で被害を受けたのは米だけではありません。
コイの養魚場を営むCさん(58)は、ニシキゴイの品評会があったフィリピンから、23日に帰国して見たのが浸水した自宅と養魚場でした。自宅は階段3段目まで浸水し、親と妻はボートで避難。養魚場で育てたコイは10万匹近くが流れ出ました。「5月に卵を取り、良い魚を選別して、来週、養魚場から別の池に移すつもりが全部流れた。意味がなくなってしまった」と肩を落とします。Cさんは「印旛沼の水位はポンプで調整している。台風が来るのは分かっていたのだからもっと水位を下げておけばこんなことにならなかった。印旛沼を管理する県には、全部もとに戻してほしい」と憤りました。
養魚場に併設のレストランも床上浸水の被害を受けました。広間の畳は水を吸って反り返り、テラス席の椅子やテーブルは流されてきたもみ殻を被って汚れています。店内では従業員やボランティアらが清掃や畳の運び出しに追われました。レストランを営むDさん(64)は、「設備も食器も全部取り出して掃除してみないと分からない。畳は臭さが残ってダメだ」と話します。営業再開の見通しはまだ立たず、これから保険の相談に入ると言います。
「若い頃、消防団をやっていて、いつ警報が入るかと身構えていたが何もなく、22日の未明にいとこから水が出てると連絡が来てはじめて知った。印旛沼はポンプ排水していてもこの被害。もっと堤防を高くしてほしい」と話しました。

