防衛省はこのほど、現職・元自衛官やその家族が防衛省、自衛隊を訴えた国家賠償請求訴訟について、2016~25年度の10年間で80件にのぼったと明らかにしました。ジャーナリストの小西誠氏が7月、都内で開かれたシンポジウムで紹介。本紙が防衛省に事実関係を確認しました。
80件のうち、現職の自衛官による訴訟は31件、元自衛官は36件、隊員の家族は13件でした。年度別では、16~21年度は1桁台でしたが、22年度以降増加。中でも、現職自衛官による訴訟は31件中24件が22年度以降の提起で、近年、多くの現職自衛官が声をあげ始めている実態が浮き彫りになっています。
機能しない組織内対策
自衛隊に対する国賠訴訟で原告代理人を務める佐藤博文弁護士の話 自衛隊内で横行するハラスメントなどの状況があまりにひどく、だまっていられないという当事者が増加していることの表れだと思います。また、22年に元自衛官の五ノ井里奈さんが隊内で受けた性暴力を告発したことをきっかけに、特に現職自衛官が裁判を起こすようになってきたことが背景にあると思います。
実際に私の所属する「自衛官の人権弁護団」には現職自衛官やその家族などによるハラスメント被害の相談が多く寄せられていますが、昨年は1年間で約180件ほどでしたが、今年は1年をまたず9月初旬ですでに190件を超えており、年々増加しています。
近年は、退職したいのに自衛隊側が妨害するなどの相談内容が増えています。相談者は隊内で被害を申告しても解決されずに私たちに助けを求めてきており、自衛隊組織内のハラスメント対策が機能していないことが浮き彫りになっていると考えます。

