陸上自衛隊の「現地情報隊」が、日本人の大学教授やNPO法人代表ら民間人を対象に、思想信条や極めて私的な情報を組織的に収集していたことが明らかになっています。防衛省・自衛隊は実態を調査し公表するとともに、違憲・違法な個人情報の収集を直ちにやめるべきです。
■データは数千人分
現地情報隊は、朝霞駐屯地(東京都練馬区など)にある陸自中央情報隊に所属しています。自衛隊が国連平和維持活動(PKO)などで海外派遣される場合に備え、現地の情報収集を行う対外情報部隊です。2003年からの自衛隊のイラク派兵で現地の情報が不足していたことを踏まえ、07年に発足しました。
現地情報隊による民間人の個人情報の収集は、熊本日日新聞が7月下旬にスクープし、朝日新聞も今月中旬に報じました。
それによると、現地情報隊の隊員約50~60人の大半が、海外事情に精通した有識者らに接触し、その個人情報の収集に当たっていました。海外の情勢を調べるための協力者づくりが目的とされていますが、現地情報隊の隊員であるという身分を隠し接触することもあったといいます。
集めた個人情報は数千人分に上り、「個人ベーシック・ソース・データ(BSD)」という報告書にまとめられていました。しかし、公文書管理法に基づいて登録・管理すべき「行政文書」として扱われず、そのため、情報公開の対象外になっています。
本紙入手のBSD報告書には、対象者の学歴や職歴といった基本情報をはじめ、体形、肌の色といった「身体的特徴」や、性格、モラルといった「内面的特徴」など約40の記載事項があります。
「異性関係」や「性的嗜好(しこう)」「金銭状況」「犯罪歴」といった情報に加え、「対自衛隊感情」や「愛国心」といった「思想・信条」の項目もあります。どれも海外の情報を得るという目的とは無関係なものばかりです。
■法的な根拠がない
現地情報隊による個人情報の収集について、専門家からは「法的な根拠がない」との指摘が上がっています。
個人情報保護法は、利用目的の達成に必要な範囲を超えたり、不正な手段によって個人情報を取得してはならないと定めています。思想信条など「要配慮個人情報」の取得は、あらかじめ本人の同意が必要とされています。
現地情報隊による個人情報の収集が違憲・違法なのは明らかです。小泉進次郎防衛相が現地情報隊の活動実態を一切明らかにしないまま、「不適切な活動を行ったことは確認されていない」(15日の記者会見)と開き直っていることは許されません。
自衛隊の情報活動をめぐってはイラク派兵に反対する市民らへの違法な監視が明らかになっています。
高市早苗政権は、情報活動の司令塔である国家情報局の設置に続き、「スパイ防止法」制定や対外情報庁の創設を狙っています。情報活動や国民監視の分野でも「戦争する国」づくりの具体化を許さない運動と世論を広げることが必要です。

