日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年9月21日

主張

敬老の日に考える
全世代に痛みもたらす分断論

 「高齢者の医療・介護費用の負担が現役世代に偏っている」として、「全世代型社会保障」の名の下、自民党は高齢者の負担増と給付削減をすすめてきました。日本維新の会、国民民主党なども世代間対立をあおっています。

 肩身が狭いと感じる人も多いでしょう。しかし、高齢者たたき、世代間分断がもたらすのは全世代にわたる社会保障切り捨ての痛みです。

 来年3月から実施されようとしているOTC類似薬の一部保険外しは、それをわかりやすく示します。

 医師が処方した薬に、類似の市販薬がある場合、当面、薬代の4分の1を保険から外すもので、窓口負担3割の人では実質5割負担となり負担額は1・6倍になります。

■月30円と引き換え

 導入の理由の一つに政府があげるのが「世代間の負担の公平性確保」です。しかしこの負担は高齢者だけでなく全世代にかかります。

 維新や国民民主は「現役世代の保険料軽減」を掲げ、この制度改悪を強く求めてきました。しかし、今回の負担増による保険加入者1人当たりの保険料軽減額は月30円程度であることが日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員の国会質問で明らかになっています。月30円と引き換えに、それ以上の負担増を押しつけます。

 この制度改悪は薬代にとどまらず、将来、診察や検査にも広げられる危険性があります。維新、国民民主も、風邪などを「低価値医療」だとして保険適用外にすることを主張しています。

 「世代間の公平」を掲げながら、結局は全世代の社会保障を切り捨てるものです。

 高市早苗自維政権は、高齢者の医療費窓口負担を原則3割に引き上げ、介護保険の自己負担2割の対象者拡大を狙っています。しかし、誰でもいずれは年を取り病気がちになります。自己負担割合を現役世代と同じにすれば、退職して収入が減るなかで医療費を賄うのは困難です。

■自己責任強いるな

 認知症はじめ介護を要する場合など、親を支える現役世代にとって高齢者の負担増は介護離職など自らの負担に直結します。自分の将来の負担も大きく増えます。そうなれば、「自己責任」でいま以上に老後に備えざるを得ません。将来不安から消費を冷やし経済を停滞させます。

 尊厳を持って命をまっとうできるかが自己責任にされ、“命の沙汰もカネ次第”の社会でいいはずはありません。すべての人が安心して年を取れるようにするのが社会保障の役割です。

 重すぎる社会保険料の軽減には国庫負担の増額が必要です。政府は「能力に応じた負担」とも言います。ならば、所得が1億円を超えると税の負担率が下がる不公平な富裕層優遇をただして財源を確保すべきです。高齢者をやり玉に挙げる世代分断論はそこから目をそらせるものです。

 日本は欧州諸国に比べ、社会保障関係支出の対GDP(国内総生産)比が低く、経済力に比して社会保障が貧弱です。大企業・富裕層への優遇税制をただし、大軍拡をやめ、社会保障の財源を確保する道への転換が必要です。