米保険会社がAI(人工知能)に判定させ、保険金給付や治療・入院期間を決めるしくみが大きな社会問題になり、市民が抗議の声を上げています▼保険大手「ユナイテッドヘルスケア」の最高経営責任者(CEO)射殺事件をめぐる裁判が、先月、米連邦裁判所で開かれました。殺害の動機は医療制度への不満。容疑者は事実を認めました。事件前から、AIを使って請求拒否を自動化し「医療スタッフにAIの判断に従い保険給付を打ち切れと圧力」との報道があったとも▼大けがをして歩けない状態でも、AIの判断で十分な治療やリハビリを受けられなかった男性や保険会社のAIシステムに従い会社の利益を優先させられた元介護スタッフの苦悩…。NHKのドキュメンタリー番組「AIが治療を拒む? アメリカ・医療保険の落とし穴」は衝撃的でした▼元介護コーディネーターは、患者の資料を「会社のAIのシステムに入力すると施設を出るべき日が自動的に計算される」と証言。「AIに逆らえない。会社に余計な出費は評価が下がる」といい、結局辞めさせられたと明かします▼日本でも保険に入りたい人の健康状態から将来の入院の有無をAIで予測、保険の「引受査定」を自動化しています。悲劇の再現はないか▼効率や利益を最優先した“AIの予測”で下される判断。個別の事情を考慮せず、人生を左右する利潤第一主義。現実に起きている、深刻なAIリスクです。
2026年9月20日

