沖縄県名護市辺野古沖で3月に研修旅行中の同志社国際高校の生徒を乗せた小型船が転覆し、女子生徒らが死亡した事故から16日で半年でした。2005年度以降、修学旅行だけで全国の死亡事故は22件あります。同志社国際高校を設置する学校法人同志社が委嘱した、特別調査委員会の報告書(7月31日公表)から、学校での重大事故をどう防ぐのか、学校安全を考えます。(党文教委員会責任者 藤森毅)
(写真)事故当日(2026年3月16日)の航路(報告書に掲載された写真に辺野古漁港、埋め立て予定地を加筆)
研修旅行の「辺野古ボートコース」は、生徒が分散する7コースの一つ。2022年度(2023年3月)に導入され、24年度は雨で中止、25年度で今回の事故となりました。帰りに外洋に出た直後に突然の大波が繰り返し発生し、2艘(そう)の船は相次ぎ転覆。乗船した18人の生徒のうち、1人の女子生徒が死亡し、16人が負傷しました。船長1人も死亡しています。
調査は学校側の安全対策を対象とし、三つの安全配慮義務違反があったと判断しました。
【(1)下見せず 事前調査義務に違反】
報告書は3年前のコース導入時に下見を行わなかったことを、事前調査義務違反として重視しました。ボートの大きさや形状・性能、海域の安全性、海上輸送法の順守状況などを下見で確認していれば、事態が変わっていた可能性があります。初回の無事で、その後の下見も省かれました。
【(2)安全な計画・実施の義務に違反】
「辺野古ボートコース」は旅行会社が関与しない「独自プログラム」で、学校だけが安全に責任を負っていました。しかし、実際の対策はあまりに不十分でした。
学校側は、沖縄に波浪注意報が出されていたことを知らず、船長(牧師、今回事故死)の出航判断をうのみにしました。
救命胴衣の着用指導もしませんでした。船長らによる指導も不十分でした。死亡との関係は不明ですが、報告書は、亡くなった生徒の救命胴衣の胴衣が頭の上にずり上がり、浮力体は後方の収納庫の空気だまりに浮いていたとしています。
教員同乗なし
教員の同乗もありませんでした。2艘では一度に乗れないため、生徒は先発、後発の2組に分かれ、事故は先発組でおきます。
引率教員は2人で、指導的な教員は後発組を担当し地上に残ります。もう1人の若い教員が先発組に同乗する予定でしたが、船酔いしやすい体質と体調不良から地上に残ります。報告書は「航行中のボートにおける生徒の安全管理を全く行わなかった」と批判しました。
根底に、計画段階の甘さがあります。天候の確認、中止の判断基準、教員の乗船などの事前の明確な取り決めがなかったのです。(つづく)
事故につけこむ攻撃 命を守らず
報告書公開後の8月23日、同志社国際高校の一人の教員が自死しました。平和を軸とした沖縄研修旅行の引率を重ね、今回も同行していました。報告書からは誠実な人柄が見て取れます。教員の悔悟の心境は察するに余りあります。
同時に、事故につけこんだ過度の非難がその心を追いつめたことを無視できません。事故直後から一部メディアの攻撃的な報道が始まり、当該の教員はネットにさらされ攻撃されていました。攻撃の範囲は学校にとどまらず、ペンライト集会に乗り込んで「辺野古に行って謝罪せよ」とすごむ人々まで出ました。
学校事故で肝心なことは、なぜ事故が起きたかの解明です。解明は、遺族・被害者の物心の救済、同じような事故を繰り返さない保障の双方の力になりえます。事故を起こした側は、法の下で罪をつぐないます。
過度の非難はこれと似て非なるものです。事故につけこむ、ためにする非難は命を守らず、傷つけます。命は守られなければなりません。

