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2026年9月19日

きょうの潮流

 心が揺さぶられる傑作です。実話を基に戦争を加害の側から描いた塚本晋也監督の最新作「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」。ベネチア国際映画祭でイタリアの高校生が選ぶ「金の小獅子賞」を受賞。日本でも公開されるや否や観客が殺到しています。なのに上映館が少ない。不満がネット上でも数多く▼主人公は元海兵隊員でベトナム帰還兵のアレン・ネルソンさん。日本で1200回以上講演し、1997年には「赤旗まつり」にも出演しました▼塚本監督は2015年公開の映画「野火」の準備中に存在を知った、といいます。自分の犯した罪とその後の人生を包み隠さず吐露した本に衝撃を受け、「ネルソンさんを復活させたい」一心で映画を作った、と▼戦場では誰もが殺す側になりうる。それがいかに恐ろしいことか。興味深いのは戦争PTSD(心的外傷後ストレス症)に苦しむネルソンさんの回復が、自身の罪を認めるところから始まったことです▼著書『戦場で心が壊れて』に印象深い言葉があります。日本は「国全体がPTSDにかかっている」。加害を認めない日本。その象徴が侵略を「自存自衛の戦争」と正当化する靖国神社で「政治的な目的のために、死んでもなお兵士として任務を遂行させている」と▼憲法9条を知ったネルソンさんはその人類的価値についても語り続けました。「九条を持っていることで、日本は世界でいちばん強力な国になりうる」