(写真)政府交渉で県民の声を届ける(左から)堤、猿渡の両県議=7月13日、参院議員会館
大分県佐賀関半島と愛媛県佐田岬半島の約14キロを海底トンネルや架橋で結ぶ「豊予海峡ルート」構想。県は「将来に夢と希望をもたらす国家プロジェクト」と持ち上げ、事業化に前のめりです。日本共産党県議団(堤栄三、猿渡=えんど=久子両県議)は「不要不急の大型開発をやめ暮らし、福祉、中小企業支援に予算を回すべきだ」と無駄遣いストップを訴えています。
<事業費3兆円超>
同構想は1998年の全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」に盛り込まれた「太平洋新国土軸構想」の一部。その後の財政難や大型公共事業偏重への国民的な批判の高まりを背景に2008年に凍結されました。
ところが、大分市長時代から豊予海峡ルートに執着する佐藤樹一郎知事は、23年の就任後も毎年予算に構想推進のための県費をつぎ込み、庁内にプロジェクトチームを設置しました。今年7月には経済界や愛媛県を巻き込み官民連携で資金調達や事業化をめざす研究会を立ち上げ、「機運の醸成」や国への働きかけに躍起となっています。
大分県の日本共産党と地方議員団は7月の政府交渉で、豊予海峡ルートについて国の見解をただしました。国土交通省は冬柴鉄三国交相(08年当時)の「海峡横断プロジェクトの調査は今後行わない」との表明を改めて示し「まず国民的コンセンサス(合意)の獲得が必要だ」と答えました。
県は3月、海底トンネルを整備した場合の概算事業費が1兆5200億円になるとの試算を発表。海底部と陸上部の全長80キロで、片側1車線の高速道路を想定しています。これだけでもばく大な金額ですが、架橋や大分が終点の四国新幹線の建設を前提に進めれば総事業費は3兆円をはるかに超すと予想されています。
<負担背負う住民>
地元自治体や住民が重い負担を背負わされることになる計画に対し、「税金の無駄遣いはやめろ」「お金があるなら暮らしに回せ」「大型開発より防災を」など県民の不満や怒りの声が広がっています。
大分市で建築塗装業を営む河野正則さん(75)は「長引く異常な物価高や資材不足に苦しむ中小業者や庶民の現実の姿を見るべきだ。無駄な大型開発に使うお金があるのなら、生活苦や営業難に直面している県民にこそ手を差し伸べ支援してほしい。それが政治の役割だ」と話しています。

