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2026年9月12日

きょうの潮流

 自由の女神が左手に抱える独立宣言の書。アメリカの礎となった文書が建国250周年の今年、全米を巡回しました▼人間は生まれながらにして平等で、生命・自由・幸福を追求する権利を持つ。標榜(ひょうぼう)してきたその理念が後景に追いやられ、テロとの戦いに突き進んでいったのが2001年の9・11後の米国でした▼国際法を踏み越え、アフガニスタン、イラクと戦争を拡大。対テロ作戦は中東各地に広がりました。国内では偏見の目がイスラム教徒に向けられ、監視国家へ。同時に憎しみの連鎖ではなく、融和を元にした平和を求める市民の動きもありました▼あれから四半世紀。際限のないテロとの戦いは米国社会を疲弊させ、トランプ政権のもとで憎悪と分断はさらに深まっています。自国だけの利益を優先する米国第一主義は抑制のきかない、むき出しの力の行使を国内外で▼豊かで強い米国は過去のものになりつつあると、若い世代は肌感覚で感じている。国際政治学者の三牧聖子さんはいいます。かれらは「行きすぎた資本主義と経済格差に不満を募らせ、より社会主義的な政策を支持する世代でもある」(『Z世代のアメリカ』)▼テロの標的となったニューヨークではいま、若者が中心になって、イスラム教徒で「民主的社会主義」を掲げるマムダニ市長を誕生させました。そこに希望を見いだすように、建国の礎が示した、誰もが平等で自由や幸福を追求できる社会をめざして。