過去最大の140兆円にふくらんだ政府の2027年度予算の概算要求で、内閣広報室の概算要求額が今年度予算の10倍以上の72・3億円となっていることが分かりました。「発信強化」を口実にした増額要求です。SNS上では、高市早苗首相が「普通に記者会見したり公文書で発表したりすれば良いじゃないですかね」などと批判があがっています。
ここ数年の内閣広報室の予算を見ると、菅義偉内閣の21年度が10・5億円。その後の22年度以降は3・8億円、23、24、25年度は3・9億円となり、26年度は7億円で推移しています。
今回の要求額72・3億円。そのまま予算に計上されるかは未定ですが、26年度の10倍超、25年度の18倍超というお手盛りぶりです。
内訳は、「国内発信の強化」に約65億円、「海外発信の強化」に約5億円です。「政府の個別の重要政策や方針について伝わりやすい広報コンテンツの作成を行う」「認知戦への対応の観点も含め、政府関係者による直接発信の機会を増やす」などという説明です。しかし、これでは10倍増にする理由とは言えません。
記者会見など、首相と官邸の動きを情報発信する内閣広報室。過去には、発信するだけでなくメディアに圧力をかけたことが発覚しています。
14年の第2次安倍晋三内閣時代には、秘密保護法の特集を企画したファッション誌の編集部に内閣広報室が「秘密保護法を取り上げるなら、うちにも取材を」と電話。特集の発売前に干渉していました。本紙の当時の取材に、広報室は「SNS上の情報で勉強させていただいている。(特集のことは)その一環で見つけた。業務の一環だった」と回答。日常的なSNS監視を認めています。予算の大幅増額は「発信の強化」だけでなく、世論への介入を強める危険があります。
高市早苗首相は、自身が関与する問題で記者会見や国会での説明を避ける一方で、X(旧ツイッター)で自身の言い分を一方的に発信してきました。増やすべきは、内閣に都合のよい発信ではなく、記者会見です。(矢野昌弘)

