日本は、男女平等の達成度合いを示すジェンダーギャップ指数が148カ国中118位(2025年)と下位にとどまります。なかでも順位を大きく下げている要因が「政治参画」の分野です。
女性が政治分野でリーダーシップを発揮するには、女性候補者を増やす政党の取り組みをはじめ、多様な環境整備が必要です。
内閣府の調査では、女性が政治参画しづらい理由として、男性中心の政治風土をはじめ、月経、妊娠・出産に伴う心身への影響といった女性特有の健康問題、家事や育児、介護との両立の悩みが指摘されています。
■両立のために当然
そうしたもとで、京都府八幡市長が出産に伴う産前産後休暇の取得を表明し、7月から11月まで4カ月間の産休に入りました。これまで男性の首長が配偶者の出産に伴い1カ月程度の育休を取得した例はいくつかありましたが、女性の現職首長が自身の出産のために産休を取得する例は初めてで、多くのメディアが取り上げ、ネット上での議論など波紋を呼びました。
市長として市民から受けた負託と、個人・女性としての人生の選択を両立するために産休取得は当然の選択です。これまで自治体首長で、産休の取得を表明する当事者がいなかったなかで足を踏みだし、一石を投じた意義は大きいといえます。
国会議員や地方議員では、すでに会議規則の改正による産休が認められています。
地方議会では、女性地方議員らが「出産で議会を休むと批判される」「地方議員にも産休を認めて」と訴え続けてきました。
19年に、全国市議会議長会が全国の市議会に示す標準会議規則に、本会議や委員会の欠席事由として初めて「出産」が明記されました。21年には育児、看護、介護、配偶者の出産補助が加えられ、産休期間についても「産前6週間、産後8週間」と明記されました。
しかし、首長の場合は産休についての法令上の規定がありませんでした。これまで首長が産休や育休を取得する際は、病気や事故による首長不在の場合に職務代理者を置けるとする地方自治法の規定を応用して対応してきました。この機に、「首長の産休制度を確立すべきではないか」という声が高まっています。
■誰もが休める社会
「出産と首長の職責の両立」という選択肢が女性にない社会であってはなりません。今後、若い女性が首長に挑むことを励ますためにも、これを機に首長の産休を認め、仕組みの確立の議論を進めるべきです。
今回の首長の産休には歓迎の声がある一方で、「休業中も報酬が満額支給される」ことへの批判や、「選挙で選ばれていない職務代理者に権限を委ねてよいのか」という疑問も上がっています。産休の仕組みづくりの際には、こうした懸念に正面から応える姿勢が欠かせません。
そして、誰もが不利益を受けずに、妊娠・出産や育児、介護のために休める社会へ、前向きな議論を深めていくことが重要です。

