「絵本で知ろう!おとなりの国」との呼び込みに誘われて、東京・新宿のコリアン・タウンにある高麗博物館を訪ねました。開催中の企画展示は、韓国を代表する童話作家・権正生(クォン・ジョンセン)の作品に焦点を当てたものです▼1937年に東京で生まれ、太平洋戦争を生きぬき、解放後に帰国。病苦と貧困のなかでも「いのち、愛、平和」を軸に創作活動を続け、「一編の良い童話は、百回の説教に勝る」が座右の銘です▼代表作の童話『こいぬのうんち』は、第1回キリスト教児童文学賞を受賞しました。主人公は、こいぬが石垣の隅にした、うんち君です。みんなに「きったねえ!」とさげすまれてばかりのうんち君。ある日タンポポの芽に出合い、養分としての大切な役割を教えられて、春にきれいな花を咲かせます▼日本語の絵本としても人気で、翻訳を担当したのはピョン・キジャさん。在日朝鮮人として苦労しながら日本との架け橋になろうと奮闘しました▼高麗博物館は、「日本とコリアの間の長い豊かな交流の歴史を、見える形であらわし、相互の歴史・文化を学び、理解して、友好を深め」ようと、市民の運動を通じて2001年に開館しました▼植民地支配の罪責を反省し、歴史の真実に正面から向かい、日本とコリアの和解をめざすことも博物館の目的です。敗戦翌年の在日朝鮮人・韓国人は約65万人。約26万人が各地で暮らす今日、民族差別のない共生社会の実現は共通の願いです。
2026年9月8日

