大激戦・大接戦の沖縄県知事選(13日投票)は、3期目を目指す玉城デニー知事と、高市政権丸抱え、自民党などが推す古謝玄太氏が、「横一線」の大激戦のまま最終盤に突入しました。「高市政権対沖縄県民」の対決構図は鮮明です。国に言うべきことは言い、「沖縄のことは沖縄で決める」デニー知事と、「国や大企業のせいにするのはやめよう」と公言し、国言いなり・高市政権言いなりの県政をもくろむ古謝氏。両者の勝敗は、沖縄の未来を大きく左右します。
(写真)米軍キャンプ・ハンセンで陸上自衛隊ヘリから降りて展開する陸自隊員=3月6日、沖縄県金武町
「わが国防衛の最前線」。高市早苗首相は沖縄を含む南西諸島をこう位置づけ、大軍拡の最大拠点にしようとしています。念頭にあるのは、「台湾有事」など米中戦争への参戦です。すでに沖縄本島の勝連、先島の宮古、石垣各駐屯地に地対艦ミサイルを配備し、台湾に最も近い与那国駐屯地への地対空ミサイル配備も計画しています。
空港・港湾の軍事利用も狙われています。すでに那覇空港や石垣港、平良港が、平時から自衛隊の使用を可能とする「特定空港・港湾」に指定。さらに、県管理の新石垣、下地島空港が狙われています。
防衛省は今年3月、違憲の敵基地攻撃能力である長射程ミサイルを陸上自衛隊健軍(熊本県)、富士(静岡県)両駐屯地に初配備しましたが、現時点で沖縄県に長射程ミサイルは配備されていません。県管理の空港・港湾の軍事利用も阻止されています。阻んでいるのは、「沖縄を再び戦場にするな」という県民の声と、沖縄の自衛隊増強に反対し、対話による平和構築を訴えているデニー知事の存在です。だからこそ、高市政権は総力をあげて襲いかかっているのです。
仮に自民党が「県政奪還」を果たしたらどうなるのか。県は国策を全面的に受け入れ、県内への長射程ミサイル配備、空港・港湾の軍事利用が一気に進み、軍事が大手を振って歩く沖縄に変貌していくでしょう。
それだけではありません。在沖縄米海兵隊は、離島を足場に中国軍を「抑止」する「遠征前進基地作戦」(EABO)を具体化させています。その必須条件である石垣、宮古、与那国各駐屯地の「米軍基地化」も加速する危険があります。海兵隊は、沖縄を含む「第1列島線」を「最前線」に位置づけ、戦場化を前提にした作戦計画を具体化しています。戦前、沖縄は天皇制国家を延命させるための“捨て石”にされました。今度は、米国「防衛」のための“捨て石”にされようとしているのです。
「政権対県民」構図は鮮明
普天間は返らず
(写真)訴える玉城デニー知事=5日、那覇市
デニー知事は名護市辺野古の米軍新基地建設に反対し、工事が行き詰まっている辺野古新基地を「返還」条件にしている以上、普天間基地は返ってこない、「永久化」につながると訴えています。米側が普天間返還の新たな条件として持ち出している「長い滑走路」の提供=事実上、那覇空港の米軍基地化をめぐっても、「県の大動脈である那覇空港に米軍が使う余地はない」と明確に反対しています。一方、古謝氏は「辺野古容認」を明確に打ち出し、米軍への那覇空港の提供も、基本的には国まかせの姿勢です。
辺野古をめぐっては、最初に受け入れた稲嶺恵一知事は「撤去可能・15年使用期限」という条件をつけました。県民を裏切り、辺野古埋め立てを承認した仲井真弘多知事も、最初は「普天間基地の県外・国外移設」でした。前回・前々回の知事選に自民党推薦で立候補した佐喜真淳氏は、辺野古の是非を避けました。歴代自民党県政にも、新たな基地負担の受け入れにはためらいがあったのです。
立候補段階から、辺野古容認を打ち出した候補は、古謝氏が初めてです。
こんな人物が知事になったらどうなるか。「基地負担」に対する歯止めは何もなくなり、基地あるがゆえの苦難の戦後史と県民のたたかいは過去のものとされ、半永久的な「米軍基地の島」にされるでしょう。
民主主義の危機
いま、沖縄の民主主義が危機にひんしています。一つは、SNS投稿や動画を通じて、民意がゆがめられようとしている事態です。5日放映のNHK番組によると、「沖縄県知事選」を含むユーチューブの投稿動画のうち、1万回以上再生されている動画367本(総再生回数2800万回)のうち、デニー知事に批判的な動画の再生回数は1660万回に達しました。一方、古謝氏に批判的な動画の再生回数は13万回でした。
「逮捕確定」などのキーワードも目立つと言います。圧倒的な物量の差が、人為的に仕掛けられた可能性を示しています。
2024年の兵庫県知事選をはじめ、SNSを通じたデマで民意がゆがめられた事態を、沖縄県知事選で繰り返してはなりません。
もう一つは極右・排外主義勢力の進出です。古謝氏は自民・公明沖縄県連・維新・国民民主に加え、排外主義的な政策を掲げる参政党・日本保守党の推薦を受けました。古謝氏と両党の政策合意は、いずれも外国人政策が含まれています。
とりわけ古謝氏は、参政党との距離を急速に縮めています。同党の神谷宗幣代表とユーチューブで相次いで対談したのに続き、6日には沖縄市内で初の合同街宣を実施。同党は沖縄市議選での3人をはじめ、知事選と同日投開票の沖縄統一選に7人を擁立。本格的な沖縄進出を狙っています。
神谷氏は、古謝氏を推薦したのは「国益のためだ」と表明し、デニー県政打倒を「国益」だと位置づけています。一方、古謝氏はユーチューブ対談で、「教育分野での協力」に言及。神谷氏は、県民の4人に1人が亡くなった沖縄戦を「しょうがない」と公言している人物です。日本軍による集団虐殺など、沖縄戦の負の歴史教育を強めていく危険があります。
さらに、保守党の北村晴男参院議員は2日の古謝陣営総決起大会で、「被害者意識の県政はやめにしよう」と述べ、米軍の占領支配・復帰後の基地被害を訴える県民の声を公然と否定。波紋を広げました。
SNSで民意をゆがめ、その間隙(かんげき)を縫って進出を図る極右・排外主義勢力。デニー県政を守るたたかいは、沖縄の民主主義を守るたたかいです。
古謝陣営 期日前投票に躍起
(写真)合同演説を行う古謝玄太候補と参政党の神谷宗幣代表=6日、沖縄県沖縄市
古謝陣営はかつてない企業締め付けで期日前投票への大規模動員を図っています。県選管によれば、8月28日からの10日間で期日前投票は有権者の6・25%に達しています。同日比で18年に次いで2番目の多さです。組織力で圧倒する古謝陣営に勝利するため、「毎日が投票日」のかまえで、期日前投票でも負けない取り組みが求められます。

