「春過ぎて夏来るらし白妙の衣干したり天の香具山」。万葉集に編まれた持統天皇の歌。藤原宮から見た香具山を詠んだとされます。この6~8世紀の飛鳥・藤原宮が世界遺産に登録されました▼藤原宮、石舞台古墳、飛鳥寺など奈良県橿原、桜井両市と明日香村の田園地帯に点在する19資産。日本初の中央集権国家の宮殿、豪族の氏寺から国家宗教となった寺院群や豪族から天皇の墓へと変遷した古墳群です▼魅力は、日本の国家形成期の約100年間の過程が、地下に埋まる遺産として一地域に重なっていること。「見る」より「想像する世界遺産」といわれる理由です。発掘・解明は今も続いており「古代のロマン」がかきたてられます▼世界遺産認定は、さまざまな開発に対する研究者や住民、文化人らによるたたかいの成果です。古代文化顕彰の名による飛鳥池遺跡への万葉文化館建設には、文学者の犬養孝、研究者の直木孝次郎ら著名人も県民とともに遺跡の保存へ声をあげました▼日本共産党はこうした運動と連帯。遺跡保存とともに風土と住民の生活を守り、未発掘の遺跡も含めて守る取り組みへと発展しています▼今も京奈和自動車道の奈良市北部地下トンネル化が浮上。地下に眠る未解明の遺産を壊し、住民の地下水にも影響を与えます。1300年前に繰り広げられた人々の営みに思いをはせつつ、今日に生きる私たちに課せられた遺産保護や普及継承のあり方を考えたい。
2026年9月6日

