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2026年9月5日

きょうの潮流

 この夏、小説『二十四の瞳』の舞台となった香川県・小豆島を訪ねました。木下恵介監督によって高峰秀子主演で映画化され、大ヒットとともに小豆島ブームが起きて人気の観光地に▼岬の分教場のモデルとなった小学校が今も保存されています。教室にそっと足を踏み入れると小さないすと机が迎えてくれます▼新人教師の大石久子は1928年に分教場に赴任。12人の1年生の輝く瞳に、「この瞳をどうしてにごしてよいものか」と誓います。大石先生は子どもたちの家庭状況をつかみ、学びと育ちを支えようと努めます▼生活綴方(つづりかた)の指導をしていた教員が「反戦思想を吹き込んだ」として逮捕され、この運動に共感していた大石先生は憤ります。やがて船乗りの夫が徴用されて戦死。「生きて帰ってくるのよ」と見送った教え子の3人も戦死しました▼小説の作者・壺井栄は「戦争は人類に不幸しかもたらさないということを強調せずにはいられなかったのです」と書き残しました。栄の夫でプロレタリア詩人の壺井繁治は戦時中、治安維持法によって何度も検挙されました。栄は日本政府の再軍備の企てに強い怒りを持って同作を執筆し、朝鮮戦争さなかの1952年に出版されました▼くらしを脅かす軍事費の増額、高市首相らによる挑発的な言動に心穏やかでない昨今。子どもたちの瞳を不安や悲しみでにごらせないため、戦争反対、平和憲法守れの行動がいよいよ求められています。