法務省は10月1日から永住許可要件を厳格化し永住者資格を取りにくくします。永住者資格は在留期限や就労の制限がなく、家族関係に左右されないなど外国籍者にとって最も安定した法的地位です。
日本に長く住み、日本を生活基盤とする外国籍の人に安定した法的な地位を保障するのは、国際的に求められる普遍的な人権の保障です。
日本は、「内外人平等」の原則を貫く国際人権規約を批准し、政府は「(日本では)外国人についても…基本的人権の享有が保障されている。…本規約で認められた権利を外国人にも等しく保障するよう努めている」(外務省の国連への報告)としています。
ところが、高市早苗政権はそれに反する方向にひた走っています。
■日本人上回る収入
入管法は永住許可の要件を「独立の生計を営むに足りる資産」と規定しています。これを、ガイドライン(運用指針)改定によって法の規定以上に厳しくし、▽世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を将来にわたり上回る▽その年収水準で30年厚生年金に加入した場合の年金受給額水準―を求めるとします。
永住権を得られないと期間などを限定された在留資格の更新を繰り返さねばなりません。日本で生活基盤を築き、家族生活、社会生活を営んできた人に法的不安定を強いる人権侵害です。
しかも政府は永住許可厳格化と同時に在留許可更新時の手数料を大幅に引き上げます。1人につき一律6千円だったのが、在留許可期間に応じて最大12・5倍にします。在留許可5年以上は7万5千円となり4人家族なら30万円です。日本で暮らすために、税金を納めたうえに高額な手数料を払い続けねばなりません。経済困難者には減免するとされましたが、対象はごく限定されました。
平等な権利保障どころか、納税し日本社会を支える外国人労働者を金銭的に差別し、排除しようとするものです。
■行政の裁量を拡大
重大なのは、人権にかかわるこれら一連の問題について法務省が、国会に諮らずに行政の裁量で行おうとしていることです。
永住許可の厳格化は、裁量によって法の条文を超える要件を課すものです。在留手数料は法律で上限は定めるものの、その範囲なら政令で引き上げられます。憲法は、新たな税を課すときは法律によると定めます。外国籍者にとり税金に等しい負担を法律によらず決めるもので重大です。
昨年10月には、外国籍者が日本で事業を行うための在留資格要件が省令で変えられ、必要な資本金の額が500万円から3千万円に上げられました。事実上、外国籍の中小事業者を排除する変更です。
4月1日からは外国人が日本国籍を取得する際の居住要件が、法務相の裁量で5年以上から原則10年以上に引き上げられました。国籍法には「5年以上」と明記されています。法が定める年数を法改定抜きに実質的に変えたもので、法治主義に反します。
高市政権は内外人平等の原則に立ち、外国籍の人の排除政策をやめるべきです。

