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2026年9月3日

きょうの潮流

 二つの碑には、みずみずしい花々が手向けられていました。悲しみとともに、歴史の教訓を忘れはしないとの思いを込めて▼東京・墨田区にある両碑は、関東大震災の際に虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼するために建てられました。一つは横網町公園に、もう一つは八広(やひろ)の荒川堤防下に。混乱のなかでデマを流され、たくさんの朝鮮人や中国人が殺された史実を風化させず、過ちをくり返さないためです▼この碑が横軸ならば、歴史の縦軸としたのが公開中のドキュメンタリー映画「ナウ・アンド・ゼン」です。西原孝至監督は「現在の排外的な制度と百年前の凶悪な虐殺が、直線的な時系列の中に存在するのではなく、交差し、共存していることに気づいていった」と記しています▼国際社会からも問題視される日本の難民認定率の低さや入管施設の劣悪な環境。激化するヘイトスピーチや外国人の迫害。排外主義を掲げる政党の台頭。そうした動きは過去の虐殺と、いまだ清算されていない「植民地主義」でつながっていると▼過去に起きたジェノサイドを認めず、調査も謝罪も賠償もしてこなかった日本政府。10年連続で追悼文を送らなかった小池都知事。外国人差別を助長する対策を強める高市政権。映画は、それに抗する人びとの姿も描きます▼二つの碑には、人権の回復や尊重とともに民族の和解や親善への願い、平和を求める文が刻まれています。負の歴史から今を見つめるように。