国連環境計画(UNEP)は2日、世界の平均気温が数年以内に産業革命前から1・5度を超える上昇となり、各地で災害などのリスクが危機的に高まるとする報告書を発表しました。
2015年に採択された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、気温上昇を1・5度に抑える目標を掲げ、各国政府は温室効果ガス排出量の削減などの数値目標を公約しています。報告書は、これらがすべて達成されたとしても平均気温は1・8度上昇し、現状の対策では2100年までに約2・6度上昇する見通しだとしています。
1・5度超の気温上昇がもたらすリスクについて、報告書は▽氷河が2100年までに質量で4分の1縮小し、9~12・5センチメートルの海面上昇が起きる▽効果的な対策がなければ2050年までに世界の食料生産が最大14%減少する▽より頻繁で激しい熱波や病原体の流出が起こり、病気や死亡が増加する―などと予測。リスクを減らすためには、1・5度以上になる期間を最短にすることが必要だとしています。
報告書は「世界目標は依然として長期的な平均的温暖化を1・5度に制限することだ」とし、各国が現状の対策を超える「前例のない行動」を取ることが重要だとしています。
報告書の発表を受けてグテレス国連事務総長は、「1・5度目標のための闘いは、人類のための闘いだ」「気温上昇を可能な限り小さく、短く抑え、1・5度を超える気温の上昇幅と、その状態が続く期間を制限しなければならない」と強調。化石燃料の段階的廃止と再生可能エネルギー革命を加速させ、土地、森林、海洋を保護するなど、「野心的な目標をさらに上回る」ことが必要だと述べて、各国に対策強化を呼びかけました。
UNEPのアンダーセン事務局長は、「世界中で発生している極端な熱波は、気候変動の影響がより速く、より激しく、より長く続き、より多くの命を奪い、より深刻な混乱を引き起こすことをすでに証明している」と語り、「今こそ、気候変動対策に一層力を入れるべき時だ」と訴えました。

