文部科学省は31日、学習指導要領の改定について審議している中央教育審議会(文科相の諮問機関)の特別部会に「審議まとめ」の素案を示しました。「分かりやすく使いやすい学習指導要領」を掲げ、「デジタル指導要領」も作成するなどし、学校現場に国が決めた通りの授業を行う圧力を強めるものとなっています。国による教育内容の統制・管理が強まる恐れがあります。
素案は、現行の学習指導要領で掲げている「資質・能力」を育成する「深い学び」を実現するため、「分かりやすく使いやすい指導要領」にするとし、要領の「構造化・表式化」を提唱。あわせて「デジタル指導要領」の作成を掲げました。
「デジタル指導要領」はデータを教師が人工知能(AI)に読み込ませて、指導案や教材、評価基準などを作成できるようにするものです。教育関係者からは、授業づくりの段階にまで国の統制・管理が及び、現場の教育の自由がさらに奪われるとの批判が出ています。
また素案は、小中学校の授業時間についての裁量を広げる「調整授業時数制度」の創設を盛り込みましたが、学校・教員が子どもの実態に合わせて授業をする自由を抜本的に広げるものにはなりません。
素案はこのほか、不登校の児童生徒や「特定分野に得意な才能のある児童生徒」について特別の教育課程を設けることを打ち出しています。小学校の「総合的な探究の時間」に「情報の領域」を加えるなど情報教育の拡充も位置づけました。
一方で教科書や学習内容を整理・精選するとしています。性教育の妨げになっているとして撤廃の声が上がっている「はどめ規定」については触れていません。
今後、中教審は今冬をめどに答申を出す方針。文科省は今年度末に幼稚園と小中学校の改定指導要領を告示し、幼稚園は2028年度、小学校は30年度、中学校は31年度から全面実施する計画です。高校の改定は27年度末に告示し、32年度の入学生から順次実施する予定です。
学習指導要領 文部科学省が学校教育の基準として、各教科や特別活動の内容・授業時数などを示したもので、教科書検定の基準にもなります。ほぼ10年ごとに改定されています。文科省は法的拘束力があるとして、指導要領に沿った教育を行うよう学校・教員に求めています。

