日本をいつまで原発に縛り付けるのか。高市早苗政権は7月末、「今後の原子力政策の方向性と行動指針」を決定し、原発の規模を今後も維持するとして2050年代までに原発11~14基、それ以降も同様のペースで建設することを打ち出しました。日本を原発の危険にさらし続ける無謀な方針は撤回すべきです。
東京電力福島第1原発事故(11年)では、東日本の広大な地域が放射性物質で汚染され、少なくとも16万人以上が避難を強いられました。いまも5万人以上が避難先から戻れず、農林水産業など地域経済の復興は途上です。300平方キロ以上もある帰還困難区域では除染さえごく一部で行われているだけです。
■環境も地域も破壊
福島原発事故の最大の教訓は、ひとたび重大事故が起これば環境も地域社会も壊すのが原発だということです。新規建設など許されるものではありません。
高市政権は、AIの普及などで電力需要が1~2割程度増えるから原発が必要だとします。しかし、既存の省エネ技術で電力は3割削減できます(「未来のためのエネルギー転換研究グループ」による試算)。再生可能エネルギーの発電可能量は総発電量の7倍以上と見積もられています。原発は不要です。
国内33基の原発は、運転開始から50年超の高浜原発1号機、2号機、今年50年になる美浜原発3号機など9基が40年超の老朽原発です。運転期間の法定上限は原則60年です。40年代から廃炉が相次ぐ見込みです。
「行動指針」は、電力の2割を原発で賄うことを前提に廃炉に見合う建て替え規模を具体的に示しました。電力会社に建て替えを促すためです。すでに、関西電力が美浜原発での建て替え計画の具体化に着手しています。
高市首相は「原発への投資を確実に進める」と言います。日本経済団体連合会は高市政権の方針を「大きな意義を有する」と歓迎し、「行動指針(案)に対する意見」で「事業環境を早急に具体化すること」を求めました。
これまでも政府は、運転開始後の収入を保証する「長期脱炭素電源オークション」など、原発建設のためにさまざまな支援策を講じてきました。先の国会では、公的な融資制度を創設する電気事業法「改正」も行われました。
■再エネ拡大を阻害
これほど手厚い支援を講じるのは、欧米で1基2兆円となっている巨額の原発建設費について「民間事業者のみで投資リスクを負担することには限界がある」(経団連意見)からです。危険性でも経済性でも極めて高リスクな原発はやめるべきです。
気候危機打開のために再生可能エネルギーの利用拡大に本腰を入れることが求められています。ところが、原発の再稼働がすすむにつれ、再エネの発電抑制が増え続けています。再エネを本格的に進めるためにも、原発から撤退するべきです。
再エネの可能性を本格的に追求し、再エネ比率を4割、6割、さらに100%へと引き上げる取り組みの強化こそ求められます。

