日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年8月30日

主張

性売買法務省報告案
世界の流れに立った見直しを

 女性を支援する現場が強く求めている「売る」側の非処罰化にも、買春者の処罰にも背を向けました。性売買の規制のあり方を検討してきた法務省の検討会が公表した報告書案(24日)です。同省はこれをもとに、秋の臨時国会での売春防止法改定につなげる方向です。

 現行の売春防止法は売買春を禁じているものの、売買春そのものは処罰対象ではありません。処罰されるのは斡旋(あっせん)した業者と路上などで勧誘した「売る」側だけで、「買う」側への罰則はありません。

 さらに、性器の挿入を伴わない「性交類似行為」は売春にあたらないという日本でしか通用しない特異な区別をつくり、性風俗店が届け出だけで営業できる仕組みです。

 そのもとで日本社会は人の性を金で買うことがまかり通り、昨今は海外からも「買春天国」と見られて観光客が集まる事態を生んでいます。

■買う者を処罰せず

 報告書案は、路上など人目に触れる場での勧誘に限って、「売る」側だけでなく「買う」側の勧誘も処罰対象にする方向を示しました。根拠とされているのは「社会の風紀」や「公衆への迷惑」です。しかし、いま求められているのはなにより女性の人権に立った法の見直しです。

 報告書案は「売春をする人の多くが家庭環境の問題や経済的困窮等の困難な事情を抱え、保護・支援を必要としている」と繰り返し述べています。にもかかわらず、「社会の風紀を乱し、公衆に迷惑を及ぼす」ことなどを理由に女性の非処罰化を退けました。

 「売春が心身に悪影響を与え得るものであること」などが「教育現場においてしっかりと周知されるべき」ともしながら、売買春が「地下に潜るおそれ」などを理由に買春そのものの処罰化には踏み出しませんでした。深刻な人権侵害が蔓延(まんえん)する現状を変える意志に欠けたものと言わざるをえません。

■広がる人権の視点

 1999年、スウェーデンが業者と「買う」側を処罰し「売る」側は処罰せず支援の対象とする法を施行したのを皮切りに、「北欧モデル」と呼ばれる法がノルウェー、カナダ、アイルランドなど各国に広がりました。

 フランスでも2016年、買春を暴力と位置づけた同様の「買春処罰法」が制定され警察の対応も女性を保護し支援につなげるための声かけへと大きく変化しました。

 女性差別撤廃委員会をはじめとする国際人権機関も「売る」側の非犯罪化を勧告してきました。23年にはEU(欧州連合)議会が2度目となる決議を上げ、性売買を暴力の一形態であり、男女間の不平等の「原因かつ結果」と位置付け、「北欧モデル」のアプローチをとることを加盟各国に求めました。

 日本でも、22年に議員立法で「困難女性支援法」が成立しました。同法は、「性を売る女性を更生させる」としてきた婦人保護事業の差別的な殻を脱ぎ捨て、当事者の意思を尊重し人権保障の立場で支援をおこなうことをうたいました。この流れを加速する法改正と施策の充実こそ求められています。