ヒマラヤはサンスクリット語で「雪のすみか」の意味だそうです。そのヒマラヤの高山から巨大な氷河が岩石とともに崩れ落ち、巨大な土石流を生みました▼家、車、人を押し流す高い壁のような泥流。荒れ狂う茶色の水が、次々と集落をのみ込み、橋を破壊していく映像には戦慄(せんりつ)がはしりました▼土石流は、中国のチベット自治区を起点に26日朝に発生し、ネパールの深く急峻(きゅうしゅん)な谷底を猛スピードですすみました。救援、救出活動を急ぎ、1人でも多くの人が助かってほしいと願うばかりです▼高山の頂に降り積もった雪は長い時間をかけて氷河を形成してきました。しかし人間の活動が原因の気温上昇で、氷河が急速に解け、斜面の岩や石をつなぎとめていた永久凍土も不安定に。これらが一斉に崩れる現象が「岩氷雪崩」です▼雪や氷に覆われた北極、南極、ヒマラヤなどの高山帯を「雪氷圏」といいます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2019年に海洋と雪氷圏についての特別報告書を出してこう警告していました。地球の平均気温が産業革命前に比べて1・5度上昇すれば、雪氷圏は回復不能な破壊を受け、壊滅的な災害を生む▼気温上昇は過去3年の平均で1・48度。1・5度は目前です。IPCCが最新の知見を集めた23年の報告書は、30年までに50%の温室効果ガス排出削減を、と。遠い地の悲劇ではなく、私たち人類が英知を発揮できるかが問われる事態です。
2026年8月30日

