食を支える農の現状をこの目で知ろうと南信州を訪ねました。稲の穂が垂れる前の青々とした田んぼを見つめながら、ある専業農家は打ち明けます▼「収穫まで1カ月、米の値段が心配。資材高騰し1俵60キロで2万円ぐらいは欲しいね。農薬や肥料などの値がみんな値上がっている。下がるのは米の値段だけ。これはおかしい」と▼「米づくりは、天候やカメムシなど虫に左右される。畑の作業は古希を超えた体にはキツイ。割に合わない仕事だ」との嘆きも。そんな会話の途中に、名前どおりに真っ白なシロサギが一羽、トンボが乱舞する田んぼに降り立ちました▼「エサを見つけたのか、首を下げるしぐさも愛らしいですね」。話をふると「春はホタルが飛びツバメも巣づくりをします。いいでしょう、農村は」と都会にない魅力で盛り上がりました▼農村で農業が継続して行われることがもたらす恵み、農業・農村の多面的機能です。農家民宿を通じ稲刈り体験など動植物や豊かな自然にふれることで、いのちを大事にする感性や情操を豊かにする取り組みも盛んに▼農業を普段の仕事とする「基幹的農業従事者」が初めて100万人を割りました。35%が後期高齢者です。この先、食料を誰が生産するのか、社会全体に問われる事態です。農家が来年も続けようとの意欲がわく農政への転換を。田園風景で息づく多様な生態系を未来に残すためにも、消費者が生産者の思いに寄り添いたい。
2026年8月28日

