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2026年8月25日

衆議院選挙制度の改革 塩川国対委員長に聞く

小選挙区制廃止が必要

 自民党と日本維新の会が、特別国会で成立を断念した衆院議員比例定数削減法案を、臨時国会での成立を狙う中、衆議院選挙制度の抜本的な改革をめぐる与野党協議の状況について、塩川鉄也国対委員長に聞きました。


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 2025年、衆議院議長の下に全党・会派出席の「衆議院選挙制度に関する協議会」を設置しました。各党から現行の小選挙区比例代表並立制の課題が出され、衆議院選挙制度の「抜本的な検討」の議論が行われています。

 7月28日の協議会では「25年の国勢調査の確報値が公表される9月末を目途に具体的な結論を得るものとする」と申し合わせ、閉会中も議論を精力的に行っています。

共産党の提案

 日本共産党は、「民意が届く国会」を実現するため、小選挙区制の廃止、比例代表中心の選挙制度に抜本改革し、民意切り捨ての定数削減に断固反対です。

 具体的には、衆院議員総定数は500に戻し、全国11ブロックでの比例代表制を提案しています。これは投票価値の平等を保障する有効な制度です。

 自民党・維新の会は、“決める政治”が必要と標榜(ひょうぼう)し、衆院選が政権選択選挙であるとして、「民意の集約を重視すべき」(自民)、「小選挙区制度をより強化」(維新)と、現行の並立制のもとで小選挙区制をより拡大することを主張しています。

 中道改革連合は「小選挙区比例代表連用制」、国民民主党は「中選挙区連記制」を提案しています。

 参政党は「11ブロックの比例代表制」を提案しつつ、「小選挙区比例代表併用制」も提案。チームみらいは、投票方法や議席配分方式を変更して現行の並立制の維持を主張しています。

最大の問題点

 現行制度の最大の問題は小選挙区制です。小選挙区制は、議席に反映しない投票、いわゆる「死票」が投票の半数にのぼり、この民意を切り捨て、得票率と獲得議席に著しい乖離(かいり)を生み出します。比較第1党が「虚構の多数」議席を得ることで、強権政治が横行し、国民の政治不信をつくり出しています。

 また、1票の格差解消のため、頻繁に区割り変更が必要となり、少なくない有権者が選挙のたびに不自然な選挙区変更を強いられています。毎回大きな区割り変更を伴う小選挙区制は、投票権の平等という憲法の原則と矛盾する制度です。

 小選挙区制の害悪は重大です。廃止するしかありません。

声届く国会へ改革を

 現行の並立制は、小選挙区が民意の集約、比例代表が民意の反映と位置付けられていますが、民意を集約するといって、相対多数の意見で民意を代表させ、民意をゆがめることは問題です。選挙制度は、多様な民意を正確に反映することが最も重要です。

 現行の並立制の維持や手直しでは、小選挙区制の害悪は解決しません。

 小選挙区比例代表「連用制」「併用制」も、小選挙区制を絡ませると、民意を反映する比例代表もゆがめられてしまい、小選挙区制の害悪を克服できません。小選挙区制を入れ込み複雑な制度にする必要はありません。

 中選挙区制は、比較的民意を反映できるものですが、1選挙区の定数が少なければ民意反映の機能は発揮できないと考えます。

 抜本改革には時間がかかるとして、現行の並立制を手直しする主張も行われています。

 手直しの課題に挙げられている「重複立候補」の比例復活は、並立制を廃止すれば問題になりません。「比例名簿登載者の不足」は、各党が十分な名簿登載をすればよいだけです。その障害となる巨額の供託金の見直しこそ必要です。党籍変更は禁止されていますが、「比例代表選出議員の離党」については、次の選挙で有権者が審判を下せばよいのであり、制度いじりで対応する必要はありません。

削減撤回せよ

 先の特別国会で、自民・維新両党が提出した衆院議員定数削減法案は、比例代表の定数45削減を、協議会で議論がまとまらなければ強制的に実行するものです。これは、協議会の議論に横やりをいれ、枠をはめるものであり、撤回すべきです。

 特別国会では、衆参合わせて11の野党・会派すべてが一致して定数削減法案に反対し、成立断念に追い込みました。しかし、自民、維新の両党は、協議会で定数削減を主張し続けており、協議会で結論が出なければ、秋に予定される臨時国会での法案成立をあきらめていません。

 2024年衆院選挙、25年参院選挙で、自民党に厳しい審判を下した多くの国民が求めたのは、自民党裏金問題など金権腐敗政治の根絶です。維新は、連立入りのため、自民が嫌がる企業・団体献金禁止の主張を棚上げし、そのすり替えに持ち出してきたのが議員定数削減です。国民の審判に逆行し、許されません。

 また、「身を切る改革」というスローガンについて、協議会では参考人が「議員を『特権階級』と扱うのは、議員と国民の間に対立を生み、支持拡大する一つの手法」と厳しく批判しました。もともと「身を切る改革」は、政権与党が自らの失政を棚に上げ、国民に負担と痛みを伴う政策を押し付けるときの常とう句に他なりません。国民の声を政治から遠ざけ、反対意見や少数意見を封じ込めようという狙いは明白です。

民意切り捨て

 国民の代表である議員を減らすことは、国民の声を削ること、多様な民意を切り捨てるものです。国民の声はますます国会に届きにくくなります。

 協議会の参考人質疑で7人の有識者のうち、定数削減を是とした人は1人もいませんでした。定数削減について、「地方の切り捨てになる。あってはならない」との意見。「すでに議員が少ないので国民と議員の接触の機会が少ない。減らせばますます議員が遠い存在になる。悪循環になる」として議員数増員を提案。「現職優位の傾向を助長し議員の新陳代謝・多様化を阻害」すると指摘し、日本の女性議員が極端に少なく「定数削減は悪影響となる」との発言もありました。

 日本の国会議員定数は、国際的にみても歴史的にみても最も少ない数です。衆院議長から諮問された有識者調査会(16年)は、衆院議員定数が「多いとは言えず」、「削減する積極的な理由や理論的根拠は見出(みいだ)し難い」と答申しています。

 また、国会の大事な役割である政府監視機能を発揮するためには一定の規模=定数が当然、必要です。政府の政策や行政の執行を監視し、政府提出法案を徹底審議するためには、政府に対抗しうる国会の体制が必要です。

 定数削減そのものに合理的根拠は存在しません。議員定数削減は、断じて許されません。

 いま必要なことは、定数削減ではなく、企業・団体献金の禁止であり、小選挙区制を廃止して比例代表中心の選挙制度に変えることです。世論を盛り上げ、「民意が届く国会」を実現するため、今後も奮闘します。