(写真)寄せられた質問に答える志位和夫議長=23日、京都市下京区
日本共産党の志位和夫議長は23日、京都市内で行われた『資本論』講座=「仕事のモヤモヤの正体・希望ある未来(あした)」(党京都府委員会、党京都府労働者後援会、民青同盟京都府委員会共催)で、「賃金・労働時間」「ケア労働」「自由な時間と社会の発展」「第4次マルクス・ブーム」「AI(人工知能)」「環境問題とマルクス」―など、労働者から寄せられた数々の質問にパネル・写真を使いながら答え、労働者のたたかいと社会主義・共産主義―未来社会の展望について、3時間近くにわたり縦横に講演を行いました。
8人入党
志位氏は講演の最後に、参加者へのメッセージで、マルクスの言葉を紹介しながら、直面する労働条件改善のための日常闘争に頑強に取り組むとともに、資本主義制度そのものを変えるたたかいをよびかけ、そのためにも日本共産党へ入ってくださいと熱く訴えました。講座はオンラインでも配信され、立ち見も出て満席となった会場とあわせ京都府内10カ所で実施。事前の取り組みとあわせ講座を通じて8人が党に入り、4人が民青同盟に加盟しました。
講座は初めに、府内の5人の労働者がスピーチ。看護師、教員、営業職、非正規公務員らが人員不足、低賃金、長時間労働など、自身が直面する実態と切実な願いを語りました。
志位氏への一問一答が始まり、「医療・介護・保育・教育などケア労働者への搾取はどのように行われていますか? 社会主義・共産主義の社会ではケア労働者の位置づけは変わりますか?」―との質問があがりました。
志位氏は、職業の種類を問わず、搾取は同じように行われていると解明。マルクス『資本論』の「労働過程論」をもとにケア労働について語りました。製造業などは、モノに働きかけ、物質的な富をつくることが目的となるが、ケア労働は、生きた人間に働きかけ、人間の生命と発達を保障する労働だと述べ、ケア労働は「人間社会を支える二大分野の一つ」「人間社会を根底から支える貴い意義をもちます」と強調しました。さらに、ケア労働は、「人間同士の全人格的なコミュニケーションを通じて初めて可能となり、それを通じて、ケアの提供者と受け手が人間としてともに成長していくという素晴らしい特徴をもちます」と指摘。「こうした魅力ある労働だからこそ、困難な条件のもとでも、みなさんが誇りをもって頑張っておられるのではないでしょうか」と語りました。
しかし現実は、保育や介護でも、医療や教育でも、人手不足、多忙化で、「ケアの対象と向き合う時間」「双方が成長する時間」が奪われている実態を話し、その根本に資本主義の利潤第一主義のもとで、ケア労働を「女性が家の中で行う労働」とみなして粗末に扱う社会のゆがみがあるとして、社会と政治を根本から変えることをよびかけました。
志位氏は、社会主義・共産主義では、社会保障や教育などは資本の搾取から解放され、その社会的財源がはるかに豊かになることを、マルクスの『ゴータ綱領批判』を紹介しながら解明しました。
AIリスク回避・阻止に向けた国際協力を
AI(人工知能)がものすごい勢いで進化しています。一問一答では「それらの進化・活用と、資本制経済における労働のあり方、労働時間についてどう変化すると考えますか? 共産主義を展望する上で重要な生産手段となる一方で、戦争などの破壊活動に悪用された場合のリスクも大きい。マルクスが生きていたらこの問題にどう取り組んだでしょうか?」との質問も出されました。
「マルクスが生きていたら、AIという新しい技術の研究に徹底的に取り組んだことでしょう」―こう述べた志位氏は、彼が生きた19世紀における最先端技術は機械制大工業だったが、マルクスは『資本論草稿』の執筆を一時中断してでも、機械の研究に徹底的に取り組み、マイナス面とプラス面の両面で捉えたと説明。機械制大工業が、女性・子どもの労働、労働時間の延長、労働強化、雇用破壊などの破壊的影響を及ぼすと同時に、労働者の集団が力を合わせて生産を行うという点で未来社会につながる要素を生み出すことを明らかにしていったと述べました。
志位氏は、AIもプラス、マイナス両面をつかむことが大事だと説くとともに、「これまでの技術の発展とは質的に異なる特徴」があるとして、「人間の脳(知性)を代替するという点で、産業革命を含めこれまでのあらゆる技術の進歩を上回る、巨大な影響を人類に与える可能性があります」と強調しました。
その上で志位氏は、AIのメリットとして、労働時間短縮など人類に大きな恩恵をもらたす可能性があり、生産の社会化の進展など未来社会の要素をつくり出す面があると主張。一方で「二つのリスク」があるとして、第一に、雇用破壊、労働強化、環境破壊など資本主義的利用がもたらすリスク、とくに軍事への利用は重大な危険だと述べました。第二に、「より深刻なリスク」として、AIの無秩序な開発競争の結果、人間がAIを制御できなくなり、人類の絶滅の可能性を含む「破滅的な結果」をもたらす危険があることを告発しました。
志位氏は、この「二つのリスク」を回避・阻止し、AIの恩恵をすべての人が享受できる社会をつくるための国際的な協力は急務だとよびかけました。さらに、AIの「二つのリスク」はそのどちらも現代資本主義が生み出したリスクであるとして、社会主義・共産主義に進むことによる経済の計画的な運営、「自由な時間」と「人間の全面的な発展」が解決にむけた根本的な道になると語りました。
会場での質疑応答では、「ハラスメントは社会主義・共産主義でなくなる?」「自由な時間を得た人間は正しく成長する?」などの質問が出され、志位氏は、「搾取がなくなり、人間の関係が本当に対等・平等の関係になったら、ハラスメントの社会的根はたたれます」「自由な時間を得たら、人間は自身の発展のために時間を使い、成長していくことになると思います」と答えました。
最後のメッセージで志位氏は、労働者が正規、非正規に分断されている状況について言及。資本主義的蓄積は、技術革新の進展とともに、仕事につけない「相対的過剰人口」「産業予備軍」を大量に生み出すこと、それは現代では非正規ワーカーの全体を含むこと、それは「労働者に不利で資本家に有利な情勢を累積的につくりだす」ことを率直に語りました。そのうえでマルクスがよびかけたこととして、(1)すべての労働者が団結して、より頑強な日常闘争を行い、時短、賃上げ、非正規ワーカー待遇改善のためにたたかうこと(2)資本主義の仕組みそのものを変える社会革命をめざす―二つを示し、「たたかいによって前途をひらく。そういうたたかいをやるためにも、労働者階級の党――日本共産党に入党を」と力強くよびかけました。

