【カイロ=米沢博史】イスラエルがパレスチナ人受刑者を対象とする死刑執行施設の建設を進めています。ベングビール国家治安相は19日、死刑判決を受けたパレスチナ人の専用収容棟と死刑執行室の建設現場を撮影した動画を公開しました。
クネセト(国会)は3月30日、ヨルダン川西岸の軍事法廷で殺人を伴う「テロ行為」を行ったと認定されたパレスチナ人に、原則として死刑を科す法律を可決しました。西岸では、入植者による暴力でパレスチナ人が殺害される事件が多発していますが、ユダヤ人はイスラエルの一般法廷で裁かれるため、同法の対象とはなりません。
パレスチナ収監者協会(PPS)のアブドラ・ザガリ会長は、死刑執行に向けた準備を「人道に対する罪」と非難しました。また、イスラエルの刑務所内で拷問、暴行、性的暴力、栄養失調、疾病のまん延により死亡したパレスチナ人は100人を超えると告発しました。PPSによると、イスラエルの刑務所には現在、9400人以上のパレスチナ人受刑者が収容され、女性92人、子ども370人以上が含まれています。
アラブ連盟(22カ国加盟)も19日、施設建設を非難し、パレスチナ人拘束者への死刑執行は戦争犯罪に当たると警告しました。1949年の第4ジュネーブ条約など国際人道法に違反すると指摘し、国際社会に死刑執行を阻止し、イスラエル当局者の責任を追及するよう求めました。
イスラエルでは1962年にナチス・ドイツの戦犯アドルフ・アイヒマンを処刑して以降、死刑執行はありません。今回の施設建設は、長年執行されてこなかった死刑をパレスチナ人に差別的に執行する体制を整える動きとして、強い批判を招いています。

