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2026年8月22日

主張

大学に軍事研究所
学術研究の土台破壊する暴挙

 高市早苗政権は「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)」(7月21日閣議決定)で、「国研(国立研究開発法人)・大学等への防衛研究基盤整備等を通じ、防衛力を支える研究開発を促進することで、最先端技術を迅速に取り込む」と明記しました。

 「統合イノベーション戦略2026」(7月14日閣議決定)では「大学や国研等におけるセキュアな(機密を守れる)防衛研究基盤の整備に取り組む」としています。

 大学や国研に軍事上の機密を扱える研究環境をつくる―いわば「軍事研究所」ともいうべき拠点を設ける構想です。

 「日本成長戦略」(7月21日閣議決定)では、ウクライナやイランの戦争で行われたAI(人工知能)やドローンなどを活用した「新しい戦い方」に対応して、「国内生産基盤の強化、防衛イノベーションの促進、装備移転を一体的に推進するため、法人の設置の検討を進める」としています。

■日本学術界の岐路

 大学・国研に設けられた「軍事研究所」は、兵器の大量生産体制、軍事技術の研究開発、武器輸出を一体的に推進する体制に組み込まれます。

 平和主義のもとで発展してきた学術研究の土台を壊す暴挙であり、「戦争国家づくり」を進める危険な構想です。

 戦時中、理化学研究所では陸軍の命令により原子爆弾の研究開発が秘密裏に進められました。それを担った仁科芳雄氏は、広島・長崎に投下された爆弾が原爆か否かを検証するために視察し、惨状を目の当たりにして、「原爆が誕生した以上、戦争を無くすしかない」と決意しました。

 戦後発足した日本学術会議は、仁科氏を初代副会長に選出し、1950年の第6回総会で「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意」を表明します。67年にも同様の決議をあげ、2017年には二つの決議を継承し、防衛省の安全保障技術推進制度を「問題が多い」と批判する声明を採択します。

 日本の学術界は、こうした歩みを続けられるかどうか、歴史的な岐路にあります。

■軍事から解放され

 00年以降、日本からは米国に次ぐ2番目に多い22人の研究者がノーベル賞を受賞しました。戦後の学術界は、軍事研究の強要から解放されたからこそ、知的好奇心にもとづいた基礎研究を営々と積み重ねてこられたのです。

 昨年ノーベル化学賞を受賞した北川進京都大特別教授は「金や名声など不純な動機で研究は続かない。学術的な好奇心、自然への興味をもとに突っ込んでいけば諦めずにできる」と強調しています(7日、日本学術会議臨時総会)。

 軍事上の機密を扱うという秘密主義を学術研究に持ち込むことは、研究者たちの自由な研究環境を壊します。「イノベーションの促進」どころか、研究力の低下に拍車をかけることになります。

 高市政権は、研究者が軍事研究に非協力的だと問題にしていますが、国際紛争を軍事力で解決しようとすることこそ問題です。軍事研究の押しつけをやめ、知的好奇心に基づいた基礎研究を励ます基盤的経費の抜本的な拡充をはかるべきです。