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2026年8月21日

主張

ICC所長に「制裁」
高市首相は米政権に撤回迫れ

 ここまでトランプ米大統領におもねるのか。トランプ政権が国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長らを制裁対象に加えると発表(18日)したことについて、高市早苗首相は「大変残念に思っている」と述べるだけでした。あまりの弱腰、卑屈な対米追従の姿勢に怒りを禁じ得ません。撤回を求めるべきです。

■重大な歴史の逆行

 ICCは2002年に設立されました。民間人を大量虐殺するジェノサイド(集団殺害)など最も重大な国際犯罪を指示・実行した個人を裁く史上初の常設国際法廷です。米国、ロシア、中国などは未加盟ですが、加盟国は125カ国・地域に上ります。

 日本は07年に加盟し、最大の分担金拠出国です。政府は加盟の意義について「責任ある大国として国際社会における法の支配、(戦争犯罪)不処罰との戦いに貢献」するとしていました。

 これまで赤根氏ら3人の判事を出し、同氏は24年に日本人初の所長になりました。

 一方、トランプ米政権は、ICCがアフガニスタンでの米兵らの戦争犯罪を捜査対象にしたことに反発し、敵視してきました。

 24年にICCがパレスチナ・ガザ地区でジェノサイドを続けるイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことを強く非難。25年にICCを制裁対象にする大統領令に署名していました。今年7月には、ICCの解体を目指すとして制裁の強化などを発表していました。

 ICCの解体方針は、「法の支配」を根底から壊しかねません。戦争犯罪を処罰するという歴史の本流への重大な逆行です。高市首相の姿勢は、日本が「法の支配」を軽んじていることを国際社会に示すものにほかなりません。

■孤立深めるばかり

 高市首相は今年1月、ICCの赤根所長らの表敬訪問を受けています。

 訪問を受け、首相は自身のX(旧ツイッター)への投稿で「国際社会における法の支配は、平和と繁栄の基礎をなす」と指摘し、「ICCは重大な犯罪行為の撲滅と予防のための国際刑事法廷」として「法の支配の要を担っている」と強調。「これからもしっかり支援していくので、頑張ってほしいと心からのメッセージを伝えた」と述べていました。

 これが口先だけでないなら、高市首相は、今回の制裁に対し「大変残念」などという弱々しい感想でとどめることは許されないはずです。

 国際社会ではすでに、国連やEU(欧州連合)をはじめ、英、独、仏など各国が相次いでICCへの支持・支援を表明しています。

 国内では、多くのメディアが首相の姿勢を批判しています。「人権外交を超党派で考える議員連盟」は中谷元・元防衛相らの共同会長名で、今回の制裁を「法の支配に対する重大な侵害として最も強い言葉で非難する」とした緊急声明を発表。日本政府に対し米政府への抗議と制裁撤回の申し入れ、ICCへの協力と支持の表明を求めました。

 こうした声に応えなければ、高市首相は国内外で孤立を深めるばかりです。