厚生労働省は19日、長時間労働につながる残業協定(36協定)締結などを「支援する」窓口設置や、残業を月45時間以内に減らすよう一律に求めていた指導方針の改悪を発表しました。労働時間短縮を企業に求める労働行政の役割を投げ捨て、長時間労働の抜け道を指南する行政への変質です。9月から実施されます。
労働基準法は労働時間の上限を原則1日8時間、週40時間と定めています。しかし、労使が残業の協定を結べば月45時間、年360時間の残業をさせることができます。さらに特別条項を結ぶと月100時間未満、年720時間まで上限が拡大されます。
労働基準監督署は健康障害のリスクが高まるのを防ぐため、残業を月45時間以内に削減するよう一律に指導していましたが、これを見直し、各事業場の36協定に応じた指導に緩和します。47都道府県に設置された「働き方改革推進支援センター」に36協定締結を「支援する」窓口を設置し、長時間労働ができる方法を企業に広げようとしています。
自民党は4月、財界の「監督署の過度な指導で企業活動が萎縮している」との主張に対応するため指導の見直しを提言。高市早苗内閣は7月に閣議決定した日本成長戦略や骨太方針で「労使合意にのっとった指導が行われるよう速やかに見直す」としていました。
全労連の土井直樹厚生労働局長は「1日8時間労働の原則が抜け落ち、労働者保護や労働条件改善という視点が見当たらない。労働時間短縮を求めてきた労働基準行政の現場の努力も踏みにじる内容で認められない」と批判しています。

