人工知能(AI)の軍事利用が加速する中、防衛省は他国領域への先制攻撃を含む「敵基地攻撃能力」を強化するため、自衛隊の指揮統制にAIを活用する考えを示していることが分かりました。日米の連携を重視し、米国製AIの導入が有力視されています。
同省は6月9日、X(旧ツイッター)に、「スタンド・オフ防衛能力(敵基地攻撃能力)や無人アセット(無人兵器)活用の大前提となる、AI・データ・ネットワークなどを活用した指揮統制・通信の能力を強化していきます」と投稿。敵基地攻撃は、陸海空自衛隊の統合作戦での複雑な指揮系統になることに加え、指揮官は短時間での標的設定や攻撃判断が求められます。これを支援するため、高速で情報を収集・分析し、選択肢を提示するAIの導入が検討されています。
防衛省の防衛科学技術委員会は4月の報告書で、「スタンド・オフ防衛能力」の一環として、三菱重工が2024年度から指揮統制ソフトウエアの設計・製造に着手していると明らかにしています。一方、同省の防衛力変革推進本部は今月3日の会合で、「米国等と比較すると、防衛省・自衛隊のAI活用・導入は途上にある」と指摘。「日米連携でのギャップも懸念」されるとしています。
さらに、敵基地攻撃能力の中核である長射程ミサイルの配備が開始されたものの「衛星等による情報収集・指揮統制機能も、現時点では限定的」だとして、米軍の情報・指揮統制なしには運用できないことを事実上認めています。
その上で防衛省は、米軍が指揮統制に採用しているAI「NGAメーブン」が、「目標の探知から攻撃までの時間を、数時間から数分に短縮した」とする米当局者の証言に着目。米軍が今年2月に開始したイラン先制攻撃で、「メーブン」は攻撃目標の特定にとどまらず、部隊の選定、使用する弾薬、攻撃経路などの作戦計画まで生成したとしています。
AIの軍事利用への懸念が国際社会で強まっています。とりわけ指揮統制への導入は、攻撃判断の“効率化”につながり、戦争の残虐性を高めます。しかも、米軍と同じAIの使用に踏み切れば、無法な戦争を繰り返す米軍の指揮系統に切れ目なく統合される危険があります。

