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2026年8月18日

きょうの潮流

 水木しげるさんの「白い旗」をアニメ化した16日放映のNHK番組を見ました。米軍の猛攻をうけた硫黄島で部下の命を救おうと白旗を振った若い海軍中尉。水木さんはその物語を生涯に3度も漫画にしていました▼陸軍兵士として南太平洋の激戦地ラバウルに送られ、爆撃で片腕を失った水木さん。「白い旗」は自身の体験記ではありませんが、評論家の鶴見俊輔氏はこの漫画を「数ある戦記漫画の中の代表作」と評しました▼「いつ来るかもしれない玉砕の不安の中で、水木が空想し、望んできた戦闘の終結の形がここにあらわれている」(『漫画の戦後思想』)▼番組は日米の関係者の証言によって物語が実話であることを明らかにしました。水木さんも実話だと知って希望を作品に託したのでしょう▼「ゲゲゲの鬼太郎」も戦争体験の産物と見ていた鶴見氏は「白い旗」の兵士のひとりに注目し、「鬼太郎の場合も、この無名兵士とおなじく、死体をかきわけてこの世にあらわれた」。「死んだ父親が自分の片目となっているという考えは、戦争体験の現実に基礎をもつ一つの考え方だ」と▼日本人の十五年戦争の体験は、世界の思想史にとって意味があるとしていた鶴見氏。戦後の漫画にも戦争が生んだ平和と生命尊重の思想が流れています。その思想の頂点が憲法9条です。日本の漫画やアニメのように9条も世界に広がる日がきっとくる。それは、水木さんの思いでもあるはずです。