ロシアのプーチン大統領が13日、就任以来初めて、千島列島の択捉(えとろふ)島を訪問しました。千島列島は日本の歴史的領土です。国家元首の訪問でロシアによる不当な占領の固定化を図ろうとする暴挙です。日ロ領土問題の公正な解決に反する行動であり、断じて許されません。
■領土不拡大に背く
日ロ領土問題の根源は、第2次世界大戦終結に際してソ連の指導者スターリンがとった覇権主義的な領土拡張政策にあります。
スターリンは、1945年2月のヤルタ会談で、ソ連の対日参戦の条件として千島列島の「引き渡し」を要求し、米英も認めました。ソ連はこの秘密取り決めを根拠に千島列島を併合しました。
プーチン大統領は択捉訪問の前日の12日、ロシアによる千島「領有」は、「第2次世界大戦の終結による現実として国際文書に明記されている」として正当化を図りましたが、この「文書」はヤルタでの秘密取り決めなどを指します。
しかし、第2次世界大戦の戦後処理の大原則は、カイロ宣言などに明記された「領土不拡大」です。併合は、ソ連自身も認めた大原則を真っ向から踏みにじるもので、プーチン大統領の言い分は認められるものではありません。
ソ連は、千島列島に含まれない、北海道の一部である歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島まで自国領に編入しました。この根本問題を正すことが不可欠です。
千島列島全体が1875年の樺太(からふと)千島交換条約で平和的に確定した正当な日本領土です。日本政府は、1951年のサンフランシスコ平和条約で千島列島の放棄を宣言しました。
この「千島放棄」条項を不動の前提とせず、第2次世界大戦の戦後処理の不公正を正すという国際的道理に基づいて、全千島列島と歯舞・色丹の返還を求めることを、交渉の根本に据えなければなりません。
■国際的道理に立ち
ソ連・ロシアの歴代政権に強硬姿勢を許してきた根本に、自民党政権による国際的に道理のない対応があります。プーチン政権は、2014年にウクライナのクリミアを併合し、22年からウクライナ全面侵略と一部地域の併合を続け、国連憲章と国際法に違反した覇権主義的な行動を強めています。それだけに、日本政府が国際的道理に立って領土交渉を立て直すことが避けて通れません。
自民党政権は、ヤルタ協定とサンフランシスコ条約の枠内で解決を図ろうとして、国際的に通用しない議論を領土交渉に持ち込んできました。「国後(くなしり)、択捉は千島列島ではない」として歯舞、色丹とともに返還を4島に限定する主張です。
誤った立場に固執しつづけた結果、日ロ領土交渉は、何一つ具体的な成果があがらず、日本側の一方的譲歩ばかり繰り返され、返還の道がいっこうに開けません。
旧来の方針を抜本的に再検討し、「領土不拡大」の大原則に立ち、第2次世界大戦の戦後処理にあたって行われた不公正を正す外交努力こそが必要です。

