きょうは山の日です。山に親しみ、山の恩恵に感謝することを旨としますが、いま増え続ける山岳遭難をいかに防ぐかが登山の問題になっています▼昨年の山岳遭難は3千件をこえ、遭難者数は過去最高の3623人に上りました。近年は転倒や疲労、病気が目立ち、遭難者の年齢も20代以下が大きく増加していることが特徴です。背景には経験や体力、準備不足があります▼昨年秋、北アルプスの穂高岳連峰の登山口に環境省が試験的に登山ゲートを設けました。通過する登山者に準備やルールの確認を行いましたが、なかには午後遅く来て「これから上まで行きたい」という人も。担当者は「目的地までどれくらいで歩けるか、わかっていない人が多い」といいます▼関係者が指摘するのは、登山者の質の変化です。インターネットで登山の情報が簡単に手に入る時代。地元自治体も観光資源として山を宣伝し、観光旅行との境が見えにくくなっています▼国際山岳連盟が示す登山の規範には、登山やハイキングは死に至る場合もある危険な行為であり、自分たちの行動が社会に及ぼす影響を自覚するよう求めています。実際、長野県では今月9日までに死者・行方不明者が34人。遭難者の約15%を占めます▼登山家の馬目弘仁(まのめ・ひろよし)さんは「登山には“覚悟”が必要だ」と訴えます。山の魅力とともに、山に入る心構えを伝えていく。それが遭難や事故を減らして、山を楽しむことにつながります。
2026年8月11日

