(写真)国旗をモチーフにした作品を示しながら、国旗損壊処罰法の廃止を求める憲法研究者ら=4日、国会内
人に「不快感」を与える方法で「国旗」を損壊する行為に刑罰を科す国旗損壊処罰法の施行が13日に迫るなか、200人の憲法研究者が4日、同法の速やかな廃止を求める声明を発表しました(5日付既報)。声明の呼びかけ人は国会内での記者会見で、憲法研究者として社会的責任を果たすために声明を出したと強調。同法への危機感を口々に語りました。
表現の萎縮危惧
愛敬浩二・早稲田大教授は同法について、実際に適用されなくても、公立美術館などに「莫大(ばくだい)なインパクト」があり、大問題だと指摘。「違法となる可能性」を理由に、国旗を用いた作品の展示などが拒まれることになると危惧を示しました。自分と価値観の異なる表現に出合い、直接的な権利侵害がない限り我慢する寛容さが、市民社会には不可欠だと強調。同法がもたらす表現の萎縮は「民主主義の健全性の破壊」であり、「一日も早く廃止しないと」と強調しました。
長峯信彦・愛知大教授は、憲法21条が集会・結社・言論・出版に続けて「その他一切の表現の自由」を保障すると、非常に強く幅広い表現を使っている点に改めて注意を向けてほしいと主張。米国では1989年の最高裁判決が、国旗の損壊行為を処罰するテキサス州刑法を違憲と断じていると説明し、「なぜ日本は先進的自由主義国家の基本を踏まえられないのか」と批判しました。日の丸への敬意を画一的に求めるのは、選択的夫婦別姓を認めない精神構造と同じだとも指摘。同法の背後には「私たちにとって国家とは何か」という根本的問題があると述べました。
黙ってはだめだ
橋本基弘・中央大教授は、同法の根本には「愛国心の強制」があると批判。「日本の民主主義に大きな転換を促すような禍根を残す」と警告しました。
志田陽子・武蔵野美術大教授は、人の信条に根ざした感情の一方のみを処罰することは、憲法14条が禁じる信条による差別にあたると指摘。世界各国では政府への抗議の焼身自殺が起きているとして、為政者は国旗の焼き捨てで済んで良かったと思える度量を持ってほしいと訴えました。
成澤孝人・信州大教授は、日本には憲法21条があり、萎縮して黙るのが「一番良くない」と強調。批判はまだ十分できると述べ、同法に抵触しない手段での抗議を呼びかけました。

