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2026年8月7日

主張

企業統治指針改訂
成長阻む株主偏重の是正こそ

 日本経済をゆがめる株主至上主義をもたらした元凶の一つである「コーポレートガバナンス・コード」(企業統治指針)を金融庁と東京証券取引所が7月に改訂しました。

 株主至上主義とは、労働者や企業の競争力を犠牲にしてでも株主の利益最大化を図るものです。弊害が問題になるなか、高市早苗首相も「(指針を)見直し、企業が経営資源を株主還元のみならず、働いている方も含めて適切に配分することを促していく」と表明していました。

 しかし、実際に改訂された「指針」は、企業から利益を収奪する「物言う株主」の発言力を強めるもので、ゆがみをいっそう加速させます。

■経営陣の行動縛る

 株価を重視する第2次安倍晋三政権下の2015年に、米国の企業統治をまねて策定された「指針」は、「株主の権利の確保」を基本原則の1番目に掲げました。株式会社の所有者は株主であり経営陣は代理人にすぎないという考え方に立ち、株主の利益に反する行動をとらないよう経営陣を縛るのが眼目です。

 株式を上場する企業は「指針」に従うか、従わない場合は投資家に理由を説明するよう定めており、機関投資家、ファンドなどが企業に圧力をかけ、経営に介入する根拠に使われています。

 今回改訂された「指針」は、株主への経営情報開示と対話、社外取締役の登用など株主の意向最優先の企業統治に手を付けないどころか、基本原則の5番目だった「株主との対話」を基本原則の1番目に加え、「(面談には)取締役又は監査役が臨むこと」を原則に格上げするなど株主偏重をいっそう強化しています。

 15年の「指針」策定で活発化した「物言う株主」は、資産売却や設備投資の縮減で生まれる資金を株主に回すよう株主総会などで提案。また、役員報酬を株で支給する「株式報酬」の導入で、経営陣自身も株主還元で利益を得る存在に変えました。

■労働者こそ尊重を

 その結果、企業の設備投資と賃金が抑制され、不安定雇用が拡大しました。巨額の内部留保が、株価引き上げの手段である自社株買いに使われ、15~25年度に、上場企業の自社株買いは約6兆円から19兆円へ、株式配当は約8兆円から20兆円へと急増しました。株価が史上最高値を更新する一方、内需の不足から景気は低迷し、貧困と格差をもたらしています。

 経済産業研究所は19年、安倍政権の企業統治改革では設備投資も賃金も増えておらず効果は株主への分配の拡大にあったと分析しています。

 改訂「指針」は「成長投資」として、設備や人に経営資源を向けることも強調しています。しかし株主至上主義を強めながらそれをうたっても、絵に描いた餅です。

 株主はいつでも株を売却し企業との関係を断てます。企業の持続・成長が生活に直結する労働者こそ最大の利害関係者(ステークホルダー)です。高市政権は、米国と財界言いなりをやめて「指針」を抜本的に見直し、労働者、消費者、地域住民、地球環境やジェンダー平等を尊重する企業統治に転換すべきです。