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2026年8月3日

主張

米のICC「解体」
戦争犯罪の続行宣言を許すな

 民間人の大規模な殺戮(さつりく)などにかかわった個人を裁く国際刑事裁判所(ICC)の機能を「体系的に解体するため政府挙げて対応する」とトランプ米政権が攻撃しています。

 ▽ICCとその職員の渡航制限や送金禁止など制裁強化▽125のICC加盟国・地域に脱退を促す―と7月に発表しました。アフリカのチャドが脱退を表明するなど影響が出ています。

 ICCは、ジェノサイド(集団殺害)や人道に反する罪など最も重大な国際犯罪を対象に、国の元首や高官を含む個人を裁く史上初の常設の国際機関として2003年に設立されました。20世紀に発展した戦争の違法化、人権保障の画期的な成果です。

■「法の支配」に逆行

 その解体を叫ぶ米政権の方針は、「法の支配」を根底から壊し、戦争犯罪の不処罰を広げる危険な歴史逆行です。

 米国はベトナムやイラクなどへの侵略を繰り返してきましたが、建前では法の支配を掲げてきました。23年に、ウクライナを侵略したロシアのプーチン大統領にICCが逮捕状を出した時は、米国はICC非加盟にもかかわらず、当時のバイデン政権と民主・共和両党は歓迎しました。今回の攻撃は、従来の偽善的態度さえ投げ捨てたもので、「私に国際法は不要」と公言するトランプ大統領の暴挙です。

 同政権は、「国益のために活動する米軍将兵や政府高官を起訴する権限を持つというICCは米国の主権への脅威」なので解体を求めるとしています。実際にICCは、米兵やCIA要員によるアフガニスタンでの戦争犯罪を調査してきました。

 それを「脅威」と敵視するのは、同様の行為を今後も続けるという宣言です。米政府は、パレスチナ・ガザ地区でジェノサイドを続けるイスラエルのネタニヤフ首相らにICCが逮捕状を出したことも非難し、同国への軍事支援を止めようとしません。

 これに対し、米ニューヨークのマムダニ市長は、ネタニヤフ首相を「戦争犯罪者」と呼び、「首相逮捕の権限は市にないが、連邦政府はICCと連携し逮捕状の執行をすべきだ」と声明。米国での世論調査では半数が同首相の逮捕を支持しました。

 ICCのオカンポ元首席検察官は、トランプ氏は自分が退任後に裁かれると恐れている、ICCが邪魔なのだ、と指摘します。大国の権力者たちが違法な軍事攻撃を繰り返す今、ICCの存在と役割はいっそう重要です。

■日本は毅然と迫れ

 日本政府の対応はどうか。日本は07年に加盟し、赤根智子ICC所長の出身国でもあります。しかし、トランプ政権の「米国の安全保障で恩恵を受ける国にICCの権限を拒否するよう求める。(米の要求を)拒む国には監視を強化する」という脅しに対し、「懸念を持って注視」(茂木敏充外相)という態度です。

 日本共産党の山添拓参院議員は国会で「米国の方針は法の支配をかなぐり捨てるものだ」と批判し、米国にICCへの攻撃撤回を求めよと迫りました。日本は他の加盟国と連携し、米国に撤回を毅然(きぜん)と働きかけるべきです。